12:28[sage]
2010/08/01(日) 23:47:16.57 ID:nBnxCeYo
「ひ、姫神ほんとにいいのか?」
マズイ。いきなり負けそうだった。
脳裏で勝ち誇る土御門の笑顔を思い浮かべ、グーでそれをぶち抜いた。
なんとしても姫神にノーと言わせなければ。
「そういう上条君こそ。私でいいの?」
「へ? い、いやそりゃお前みたいな綺麗な子とデート出来るとか
上条さんにあるまじき幸運が降りかかるならそれはまったく問題ないといいますか
でもそれってあれ? なんかありえなくね?」
悶々と呟く上条の言葉の、「お前みたいな綺麗な子」より後を姫神は聞いていなかった。
「いきなり褒められても。その、困る」
ばっさり断られて不幸がずーん、というのを期待しているのになぜかだんだんと
周囲がお花畑と化していく。上条はその雰囲気に当惑した。
「な、なあ姫神。上条さんはぶっちゃけ不幸な人ですよ?
一緒に出歩いちゃったりしたら、どんな不幸に会うか分かりませんよ?」
「いい。理不尽な不幸には慣れてる。それに、一緒に未来を歩く人の不幸なら、背負ったっていい」
姫神が僅かにはにかみながら下を向いて、そう言った。
違うのだ。上条は心の中で否定を繰り返す。そうじゃないだろ姫神! キレがないぞ。
お前はもっとナイフで切るようにこの上条当麻を切って捨てるヤツだ!
「だーかーらー! 違うんです! 違うんですよ姫神さん!
ここは上条ライフ的に考えてソッコーで断られるシーンなの!
ここでオッケーされちゃうとまた俺の負けになるんだから……
ってそうか、だからオッケーされちまうのか。これも不幸の一形態ということか!」
「か、上条君?」
いきなり不満を噴火させた上条に戸惑う。
「よくわからないんだけど、君は。デートを断られるのを望んでいるの?」
「ああそうだよ! このままオッケーされちまったら俺は あそこでニヤニヤしてる連中に
土下座しなきゃなんねーんだ。いや、あいつらのことだから絶対土下座じゃすまねえ」
「ふうん」
事情を察した姫神が、冷たく相槌を打った。
断れば、上条君の願いどおりになる。
そんなことはしてやるつもりはなかった。
「上条君」
「な、なんだ?」
「今日の放課後、校門のところで待ってるから」
「へ?」
そう言うと、きびすを返して姫神は自分の席に着いた。
休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴った。
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