過去ログ - 上条「もてた」
1- 20
5:28[sage]
2010/08/01(日) 23:21:34.27 ID:nBnxCeYo
「もてた」

い、と上条が言い切るより先にゴバァッと両頬を殴られる。
ほんの少し土御門がタイミングを遅らせたせいで上条は左右に首をグキッとひねることになった。

「うぉいテメーらいきなりなんだ!」
「それはこっちの台詞にゃー、カミやん」
「自覚の無いこういう男はホント許せへんね。なんでカミやんて2次元の主人公みたいに鈍いんやろね」

ギャアギャアと騒ぎ出すバカ三人組を横目に吹寄はため息をつく。
この程度の騒ぎはまだ止めるレベルですらないのだった。
今日の話は上条当麻がいかに2次元世界の住人っぽいか、らしい。
盛り上がる三人のうち一人はメイドの学校に通う義妹がいるあたり、
なんて不毛な会話だろうと吹寄は思った。

「だから、もてないことの証明なんて今俺に彼女がいない時点でもう済んでるだろ!」
「ええかカミやん? もてるっちゅーのはな、フラグを何本立てられるかって意味なんやで。
 カミやんはそのフラグを回収も折りもせずに延々ため込んでるんやないか。それはもてるっていうんや!」
「はぁ? だからフラグなんて立ってないって! そんなモン立ってたら全力で回収してやるさ!」

シン、となぜかクラスが静まり返った。上条の言葉が、言質を取られるように周囲に浸透していく。

「ほうほう、面白いことを言ったにゃーカミやん、じゃあ、やってもらおうか」
「なんだよ、何をやれって言うんだ?」
「カミやんが今までに知り合った女の子に、『デートしようぜ』って言っていくってのはどうかにゃー?」
「お、おいおい。それ下手したらドン引きされるんじゃ」
「ちっちっち。分かってないなあカミやんは。
 いきなり本気で誘ったらそりゃ引かれるかも知れんけど、
 ちょっと冗談ぽく言って反応を確かめてみたらええんやんか」
「それで一人でもオッケーが出るようならカミやんは不幸少年を返上して俺達に土下座をする、
 そして全員から断られたら俺達のおごりで残念でした会を開く、ってことで」

奨学金が振り込まれるまでの三日を、どうしても乗り越えられそうになかった当麻にとってタダ飯は重要だった。

「ほう、いいじゃねーか。この上条さんの不幸体質を甘く見るなよ?」

自分で言ってることにホロリと来ながら、上条は誘いに乗ることにした。



姫神がトイレから戻ると、突然、上条に話しかけられた。

「なあ姫神、ちょっと話があるんだけどさ」
「何? 言っておくけど。早弁したからって私のお弁当はあげない」
「いやそうじゃなくて。その、さ、姫神。付き合って、くれないか?」
「え――」

一人目の少女がドキリと驚きに目を開いて、嘘、と呟いた。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/568.26 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice