過去ログ - 一方通行「打ち止めが高校に入学すンだが……」
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[sage saga]
2011/08/01(月) 01:59:29.80 ID:7wrHDZ190
「懐かしいわね、その質問。覚えてるかしら? あなた中学校に入るときにも、わたしに同じ質問していたの」
「覚えてるよ。ミサカはヨシカワの答え、すっごく嬉しかったもん」
ピン、とアホ毛を立たせて主張する打ち止めの目は真剣だ。芳川はもう一度彼女に向かってありがとう、と返した。
「だけど、やっぱり今までと全部同じ、ってことはありえないんだな、って思ったの」
困ったように子どもは続ける。別のところで別の生活を始めたのだから、以前と全く同じというわけにはいかなくて当然だということくらい、打ち止めは重々理解している。。
根本的な変化はなくとも、小さな変化の積み重ねが、初めて『家族』というコミュニティーを経験し、約二年の間そこを中心に生きてきた彼女に与えた影響は、大人達が考えていた以上に大きかった。
皆が一緒にいない――バラバラになってしまったという事実は、実際の社会を経験して約二年、外見及び書類年齢ではちょうど思春期にさしかかる当時十三歳の少女を不安にさせたのである。
「だからミサカは、あの人がたまたまなんだけど、常盤台の寮の初めての全員帰省日のとき、部屋に来て良いって言ってくれたことがすごく嬉しかった、ってミサカはミサカは告白してみる」
「そうだったの」
「あの人が高校を卒業して、大学生になるからって借りたマンションでミサカの部屋を用意しててくれたことも嬉しかったし、ミサカが高校生になって一緒に住むことになったのも嬉しかった。ミサカはここに帰ってくれば良いんだ、帰ってきて良いんだ、ってミサカはミサカは思ったの」
「ええ」
「そういうのはね、きっとミサカとあの人が家族だかからできたんだと思う、ってミサカはミサカは結論付けてみる。書面上のことも含めてね」
「それはそうだと思うわね」
「だからね、ミサカは家族としてもあの人が好きだし、家族としても一緒にいたいよ。でも普通にそうじゃなくても好きだよ。これってヘン? ってミサカはミサカは訊ねてみたり」
「…変じゃないと思うわ」
小首を傾げてみせる打ち止めの頭を、芳川は笑みを浮かべて撫でた。
恐らく今の打ち止めの思考は、一方通行もまた似たり寄ったりなのだろう。独りぼっちだった二人が身を寄せ合い帰ってくる場所として築いた関係性がまずは『家族』としての枠組みなのだとしたら、それに縋るのも一種当然だ。
しかし勿論、『家族』として処理しきれる関係性にのみに両者はいない。厄介なことに、本人達が無自覚のまま、傍から見れば似て非なる関係性をいくつも成立させてしまっているから始末が悪い。
芳川は息を吐くと、つん、と打ち止めの頬を突く。
「そんなあなたに名案よ。家族愛も恋愛も両立させちゃうステキな方法をアドバイス」
きょとりとした表情を浮かべた子どもに、からかうような眼差しを向けて、教師志望だった大人はさらりと告げる。
「結婚しちゃえば良いんじゃない?」
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