過去ログ - 一方通行「打ち止めが高校に入学すンだが……」
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677:101[sage]
2011/12/31(土) 22:36:04.56 ID:CEgclOVDO
「起きてー、ってミサカはミサカは呼び掛けてみたり」

寝汚いあの人を起こすのは朝の一仕事だったりする。特に冬、そして休日は。

「起きて起きて起きて、ってミサカはミサカは揺すってみる」

瞼を縁取る長い睫毛がふるふると震え、うっそりとした様子で漸く紅い瞳が見えた。…のは良いが、すぐに枕に突っ伏されてしまった。

「おはようございまーす、ってミサカはミサカはにっこり笑顔で朝の挨拶をしてみたり。今日はお買い物にいくって言ってたよねだから起きて、ってミサカはミサカは覚醒を促してみる」

「…うるせェ」

面倒くさそうに伸ばされた手が、ぽんと頭の上にのった。そしてくしゃりとゆるく撫でられた。

「なに?」

「…寝る。寝ろ」

「その活用とこの行動の関係性がわかんないよ、ってミサカはミサカはあなたの口癖に難癖をつけつみたり」

「…ン」

枕に頭を埋めたまま寝直す体勢に入ったあの人に、ついついと引っ張られて、はぁ、と大げさに溜め息を吐いてみせる。…まあこういった展開になることを見越した上で、朝食の準備の手を止めてきたわけではあるが。
ぬくぬくした布団にもぐりこむ。もぞもぞと落ち着く場所を探している間に、のっそりと動いた腕の中に拘束されてしまった。

「…おーぼー」

「…うっせ」

小さな呟きに半分眠った声を返された。抱き枕状態でべったりと密着しているので、聞こえてしまっていたらしい。
髪のあたりにかかる、規則正しい吐息がこそばゆい。

「匂いが甘ェ…」

「ヨミカワ直伝の炊飯器でリンゴのコンポートにチャレンジしてみたの、ってミサカはミサカは報告してみる」

「ふゥン…」

全く以て興味なさそうな返答を残して、すっかりお休みモードに入ってしまった。回された腕が重くなる。
『男女のオツキアイ』というものをスタートさせてから、あの人が何かかわった点を挙げろと言われれば、あの人の方から『なんとなく』触れてくる機会が増えた、ということだと思う(ちなみにムギノに言わせると、「自分のもの主張が激しくなった」らしい。よくわからないけど)。
能力が万全だったころはあらゆるものを反射し、能力を失ったばかりのころは人との接触に露骨に嫌悪感を示しており、どこかおっかなびっくりだったことを考えると、理由もなく他愛ない触れ合いを、あの人の方からするようになったのは大きな変化だろう。
コミュニケーションがものすごく苦手だった人なのに。まあそれも、決定的に機会がなく、そういった力を養うことが出来なかっただけで、基本値はそこまで悪くはなかったのかもしれないが。
甘えられているのかもしれない――そう思うとくすぐったい。そして、甘えられるようになってきたという事実が何より嬉しい。

「買い物にいく約束、忘れないでね、ってミサカはミサカは念をおすように囁いてみる」

返事は全くないが、反故にされるような事態は多分ない。案外義理堅い人なのだ。
背に回した手に力を入れると、心地好い温もりに眠気を誘われるままに目を閉じた。
朝食はブランチにしてしまおう、なんて眠った頭で考えながら。






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