過去ログ - 一方通行「打ち止めが高校に入学すンだが……」
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2012/06/10(日) 22:34:29.09 ID:jSNl8Mer0
帰れない期間は、もとはその半分の予定だった。しかし困ったことに、トラブルだのなんだのがやたらめったら重なって発生したのだった。
処理能力のそれなりにある第二位や第四位は学会発表で海外に赴いたり、別件の処理で別の研究所に出向中、という状況の中で起こったトラブルは、残っている人員で裁くしかない。
ちなみにこの手のことに第七位は使えない。
他人に任せるよりは自分で処理してしまった方が早い。そう判断した結果、膨大な量の仕事を一方通行は処理することになる。
奇跡的な速度でトラブルに片をつけたのは良いが、置かれた環境はかなりストレスをため込むものだった。
食事をとるのを面倒くさがって、栄養補助剤と、自分の貯蓄エネルギーの利用でなんとかしのいだが、やはりそれでは限界があるらしい。
もォ少し肉つけとくべきだったか、と全くずれた反省をしながら、点滴の袋を一方通行は眺める。液量が少ないと言うことは、それなりに意識を飛ばしていた時間が長いと言うことだ。
「あと三十分もすれば終わるけど、もう少し寝てても良いよ、ってミサカはミサカはお疲れ様なあなたに囁いてみる」
返事しようとしたが、喉の奥がヒュウとなっただけだった。こんな症状が出ることもあるのかと首を傾げて喉をさすると、傍らの彼女が柔らかい手つきで頭を撫でてきた。
「声出せないなら無理しなくて大丈夫、ってミサカはミサカはいざとなったらネットワークから読唇術のマニュアルをダウンロードするから、と告げてみたり」
「……」
ゆっくりとした感触に甘やかな居たたまれなさを感じて、一方通行は瞼を伏せた。久方ぶりとなる寝心地の良いベッドの感触は、状況も相まってただただ眠気を誘う。
静けさが満ちる病室の空気は、ひどく優しい。
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