過去ログ - 男「あれ?お前…」猫「…」 三匹目
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987:支援猫 ◆6RDyyPah4g[sage]
2012/01/04(水) 17:22:38.40 ID:nQpi7+1IO
男「しっかしこのスレもだいぶ人が少なくなってきちゃったなあ」
僕「残念だけど、仕方ないよ」

一時期に比べて閲覧者数がかなり減少しているのをみて、「登場人物」である男は大きくため息をついた。

男「うーん、この世界、割と気に行ってたんだけどなあ」
僕「また文書データに戻るのかあ…」

同じく「登場人物」である僕が面倒くさそうに頭をかく。

男「なにより俺はお前とか猫と別れるのが辛いな」
僕「そうだね…、僕もそれは一緒だよ」

ふらり、と猫が歩き出して、見えない壁で止まった。

男「ほらな、もうすぐこの世界は窄まって自然に消えてしまう」
僕「そして、記憶からも抹消されていく」

一部屋分の小さな空間に、男は腰を下ろした。

男「まあ俺達が願えることといえば、誰かの記憶に残留することぐらいさ」
僕「そうだね。記憶も一応データだから、僕らの存在はその人の脳内で保証されることになる」

途切れた会話。
しばらく空間に静寂が満ちた。

僕「…友さんは?」
男「そこら辺に居るんじゃないか? それか、もう消えたか」

ぐぐっ、と僕と男の距離が縮まった。

男「うわわ、狭まってきやがった」
僕「…誰かに僕らの声が届けば、僕らはまた一緒に暮らせるんだよね」
男「んー…、そうだな。まあ、届けるのは相当に難しいだろうが」

ぽろり、と涙が零れて。
無表情が、崩れ去る。

僕「お願いします」

 「どうか、だれか、僕の声を聞いてください」

 「僕らを、この世界を覚えていてください」

 「忘れないで」

 「こんなにも素敵で」

 「そして、暖かな空間があったことを」

 「だれか」

泣き崩れる僕を見ながら、この空間もいつまで持つかわからないな、と男は冷静に分析した。

僕は全力を尽くした。
あとは、温かい記憶に包まれるか、データに分解されるか待つだけだ。

それまで寝ていても罰はあたらないだろう。

男は小さく息を吐くと、重い瞼をゆっくりと閉じた。


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