833:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/28(金) 06:19:46.37 ID:HWZ192fXP
「口ではいくらでも物が言えると、どの時代の人間も言うように、世界は嘘だらけだ。そんな世界で、騙したりそそのかしたりという行為は、私にとって息を吐くことと変わらないのかもしれない」
「だが、あの時、私は垣根帝督を引き入れることが出来なかった。それは、彼が既に人間ではなかったことに関与していたのだろうな」
ブツブツと自分の思考を言葉にしていく。彼の個室に他に人間など居ない。完全な独白
外の明りと個室内の光の関係で、窓が鏡の様に反射して彼の顔が映される。頬を血で赤く染めつつ浮かんでいる無表情な顔は、まるで人間の様には見えなかった
壮年期を徐々に終えつつある体は、表面的にはただのサラリーマン兵士であることもあって、鍛えているという表現は当らない
その年齢に相応しい体系を、この冷房の効いた部屋で晒し続けると風邪を引きかねない。この、恐らく人生で一番重要な時期に風邪などを引く訳にはいかないのだ
いそいそとシャツを着ると、部屋にノックの音がした
「先輩そろそろ行かないと不味いっすよ旅掛さんももう出ちまいましたし」
廊下から聞こえる後輩の声が聞こえ、扉を開けて顔を出し受け答える
「ああ、すまない。もう後はシャツを着るだけだから、先に行っておいてくれるかい」
部屋から飛び出した彼の顔を見て、当然その後輩の注目はその血にまみれた頬に向かう
「あれ先輩その頬どうしたんすか」
「いやぁ、アメニティのカミソリで豪快にやってしまってね。ちょっと手間取っているんだ」
「ありますねーソレ。こういう時肌の弱い東洋人って損だなって思いますよ。わかりましたじゃあ僕は先にロビーで待っておきますから急いで下さい」
「もちろん、直ぐに行く。これだけ物事がうまく進んでいるのに、遅刻などで失敗するわけには行かないからね」
そのように、上条刀夜は笑みを浮かべて後輩を見送った
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