879:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/07(月) 08:18:23.36 ID:MkIBRDJ+P
「冗談じゃ、ないって、の!」
力無く垂れた腕を持ち上げ、手を向けて、落ちてくる上階の瓦礫の群に対して念動力を使って、身に当らないように試みた
しかし、うまく機能しない。設定していた瓦礫の内、半数以上は少しも落下の方向を変えず、自由落下へ完全に干渉出来たのは細かく僅かな瓦礫のみ
比較的数の多い念動力系能力者であるから、まだ能力を借りる先はいくらでもあり、こうなるはずは無いのだが
腹部からの、同系列の強い力の干渉によって、彼女の中の4つの頭脳に非常に良くない影響が出ていた
自己の能力を持たない彼女だからこそ、他人の能力を借り、そして外部の未定義なエネルギーを使って借りた能力を暴力的な域で発現させている
だがそこに、彼女の体内という予期しない場所から、必要以上に強力で制御不能なエネルギーが入りこんで邪魔をしているのだ
不味い
このままでは瓦礫に押しつぶされてしまう
能力の行使がままならない今の状況では、遅々とした体組織復活の前に死が訪れる
まだ他の個体を始末していないというのに、こんなところで死ぬわけには
ならば
邪魔をしているエネルギーを強引に使ってしまえば良いのだ
天井へ、落ちてくる瓦礫達へ向けた手はそのままに、彼女は彼女を苦しめるエネルギーの塊を、この行為がもたらす不明瞭なデメリットへの不安を押し殺して、口内から逆流してくる胃酸と共に、放出した
ぬるりとした感覚を伴って手の平から飛び出したのは、白い暴力的とも言える何かだった
だがしかしそれには、彼女は見覚えが有った
まだ無能力者であった自分を襲ったあの垣根提督が、浜面や麦野、上条と言った全てを押しつぶすために放った白の濁流に、酷似しているのだ
「……なに、コレ」
降ってくる瓦礫から身を守るどころか、空が見えるまでに、施設そのものに大きな穴を作った彼女が、言葉を漏らす
言った彼女自身、既に意識がどうにかなりそうだった。先程までの腹部からの感覚は更に増大し、自らの意識そのものにまで牙を向け、目が霞む
そして、霞んだ視野が、空に浮かぶ巨大な牛と、それに跨る、先端が3つに割れた鉾を持った青黒い肌の人間の形をした存在を確認した時、彼女の意識は完全に押しつぶされた
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