910:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/12(土) 01:36:56.52 ID:hj2t/feYP
ローマが、来る?
そのことに意識を取られていたステイルは、兵隊たちを完全にやり過ごした後、靴の先を壁にあててしまい、コツ、と音を立ててしまう
「ひっ」
靴の音がトイレ内に響いた反応として、個室から高い声が聞こえた
全個室、ロックはなされていない
音の出所であるだろう個室に当りを付けて、ルーンの入ったカードを片手で構え、逆の手で扉を開く
そこには白いパーカーを身につけた少女と、彼女が身を盾にして庇っている血だらけの男性が便器に座っていた
「だ、誰ですか?」
少女は、動物の骨でできたナイフ、恐らく海洋動物の何処かの骨のようだったが、をステイルに向けて構えている
この状況で"誰か"などと尋ねる時点で、この子は戦闘経験が殆どないのだと分かった
彼女が知らない=仲間ではない、という事。その時点で目の前に居るのは高確率で敵なのだから
反撃も考えて、ステイルがルーンの入ったカードを抜いてすぐにでも使用しようとしていたこと比較すると、考えも覚悟も足りない
そんな少女の様子を見て、ステイルは両手を挙げた
ステイル「とても珍しいことに敵でも味方でも無い、野次馬と言ったところかな」
「野次馬? 嘘だ。一般客どころかパーサーもパイロットまでみんな退避して、誰も入って来れないようになってるハズです! 私達を殺しに来たんでしょ?!」
「レ……レティ、シア……」
後ろの男が、瀕死としか言いようのない、擦れた声を出した
「お兄ちゃん!? 喋っちゃ駄目だよ!」
「いいん、だ。ナイフを、下ろし、グ……なさい」
「どうして? だってこの人は」
「アメリカ軍じゃ、ない。奴ら、なら、私達はもう死んで、いる」
「でもでも、悪い人かもしれないんだよ?」
「その気に、なれば……この人は、何時でもお、お前を殺す、事が出来る。すこし、お兄ちゃんに、話……させて、くれ」
男が言うと、少女は心配そうな表情を浮かべながら、身を壁に寄せた。所詮トイレの個室、狭い個室ではコレで精一杯だった
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