911:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/12(土) 01:37:30.29 ID:hj2t/feYP
「すみ、ませ…。妹が、無礼な、ことをして。どうやら、あなた、ほんと…に、野次、馬、なんで…しょ…う」
どうかな? 本当に敵かもしれない
と、ステイルは言おうとしたが、止めた
理由は、そんな無意味な言葉ではぐらかした分だけ会話が遅れると、彼が本当に伝えたかったことを喋る前に逝ってしまいそうだったから
男は、なにも言い返さないステイルを見て、口元が笑った様に思えた
「あなたは、強い、ヒト、だ。その胸……、中心から、強い力、…感じます」
震える手でステイルの胸を指そうとしたようだが、そんな力も残っていなかったらしい
傍らの少女が、今にも泣きそうな表情を浮かべる
「どういう、経、緯で、ここに……いるのか、分かりまっ、……せん。ですが、あなた、に、頼み……………」
言葉が最後まで続く前に、便器にもたれかかってようやくステイルの方を向いていた顔が、グラリと、力を失った様に横に流れた
「お兄ちゃん?!」
言いながら身を乗り出して男に抱きつこうとした少女を、ステイルは腕でのけた
男の唇が僅かに、動いているように見えたからである
そして彼は男の襟首を掴んで、顔に男の口を近づけた
「………妹だけでも……ここ…か…ら……」
聞き取れたのは、その言葉だけだった
言葉の後に少しだけ息を吐く様な声が微かに聞こえて、そしてそれすらも無くなってしまう
掴んでいた胸倉を離し、ステイルは彼を先程と同じ体勢に戻す
レティシアと呼ばれた少女は口を痙攣しているように震えさせ、目には雫が溜まっていく
ステイルが男の半ば開いた瞼を閉じて、少女が死体となった彼に抱きつこうとした時、トイレの入口の方から複数の足音が聞こえた
まず間違っても、この少女の味方ではないだろう
彼はすぐさま異なったルーンの入ったカードを取り出して、泣く少女を脇に抱えた
アメリカ軍兵士がトイレに飛び込んで銃弾を一マガジン分全個室に撃ち放した後に、個室を一つずつ確認すると
そこに有ったのは、銃弾でミンチになった男性と思われる死体が一つ、あるだけだった
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