970:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/03/06(日) 06:11:37.17 ID:vvOyZR7QP
瓦礫によって押しつぶされた人間の、助けを求める小さな声が、最先端の情報共有システムであるゴーグルを顔からズラしイヤフォンを外して、ゴーグルをバンドで首にぶら下げた彼にはよく聞こえた
拠点から100m程離れていて、大きな街路に面し一階に商業テナントが入っていた建物があった場所である
一階と二階の丁度中間辺りが、まるで対人用弾頭のロケット砲程度の威力の何かを受けたように部分的に崩れていて、外からアパートメントとして使っているだろう二階部分の中が見えた
今彼に助けを求めているのは人間は恐らく、それによって生じた瓦礫に押しつぶされているのだろう
破裂した弾頭の欠片の様なものは見当らない。つまり、この建物の傷はそういう兵器の類ではないということだ
もちろんこんな小規模なのだから、そしてどこも高温で溶けたりしていないことも考えると、時折真上を凄い速さで駆け抜けていく爆撃機によるものでもない、ということになる
学園都市の爆撃でも、混乱した同僚の誤射によるものでなければ、何だ?
答えは一つ、魔術によるもの。最近ずっと魔術組織との戦いに参戦した経験がある彼は即座に思いついた
(生き残っていたどこかの魔術師の残党が、この機に乗じて攻勢に出てきたってか? それともまさか、噂のローマ正教の連中がマジに来やがったのか?)
そんなことを考えつつ、彼は生存者の救助に動く
先程までこの辺には逃げ惑う人々が腐るほど居たハズなのに、今、周りにはびっくりするほど誰も居ない
「大丈夫、だ。もう少し、少しだけ……そぉ、い!! よし、我慢しててくれ」
下敷きになっている人を助けられるのは彼だけだった。そして、少々重そうだが、恐らく上階から降ってきたのだろう50cm程度の瓦礫と本棚程度ならば、彼一人でも何とかできる
邪魔な武器装備をその辺に置いて、力を込めると、アメリカらしい横に大きな男性の背中が瓦礫の下から出てきた
分厚い脂肪が彼の内臓は守ったのだろう。しかし、左腕は殆ど切断されている状態だった
「立てるか?」
聞きながら大丈夫そうな右腕を担いで、太った男を起こしにかかる
「あ、ありがとう。痛痛……。ハハ、こっちの腕は最早感覚すらないや」
「その腕を見せてくれ。出来る限りの処置をする。必要なら麻酔も使うが、痛むか?」
「是非そうしてほしい。何から何まで悪いと思ってる」
「そういう仕事だ。それで、あんた以外なんで誰も居ないんだ? まず、何が起きた?」
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