977:本日分(ry ちょっと余計な話が長かったか[saga]
2011/03/06(日) 06:26:32.95 ID:vvOyZR7QP
御坂「……酷い」
上条当麻が居ると思われるボストンを目指す輸送機の中で、通り過ぎたワシントンDCとニューヨークの現状を輸送機から見下ろすように写した画像を、御坂は見ていた
その表情は青く、目には僅かに涙すら浮かんでいる
画像の中では、都市の到るところから煙が上がり、光や爆発で満たされていた
各都市2から3枚ずつの、たった6枚に満たない枚数の画像だが、見るべき点はたくさんある
かなりの高解像度であり、拡大することでその時の街の様子が垣間見えた
交戦する兵隊と妙な服装の集団。兵たちの背後で逃げ惑う人々
特に彼女の心を揺さぶったのは、ニューヨークのマンハッタン島を挟む広い川の上に架かった橋の画像
戦場となってしまった都市から逃げようとした、車すら捨てて人々がごった返す橋。その一端は既に落ちていて、彼らはマンハッタン島から逃げることも出来ない
だからと言ってマンハッタンには帰れない。そちらの端のスグ近くでも、今まさにローマ正教魔術師部隊vsアメリカ対魔術師部隊の戦闘が行われているのだから
そして前にも後ろにも進めなくなった人々の群の殆ど中心で、今まさに爆発が起きようとしていて、光が広がろうとしていた。そして次のシーンになると、その爆発が拡がっている
直撃を受けた人々の中では、一枚目の時点で既に腕や脚、そして頭部が四散しようとしていた
まさに決定的とも言える瞬間を写した二枚目の画像。更なる人間がその爆発に巻き込まれている。最拡大してようやく見てとれた表情は、首だけ弾け飛んでいるものからそうでないものまで皆、恐怖で歪んでいる
そして仮に端が壊れていなくてその橋が渡れたとしても、その先もまた戦場である
南も西も東も北も、マンハッタンを取り囲む一大ニューヨーク都市圏はその一円全てが、既に戦場となっていたのだった
いくら対魔術的な戦力を整えた、と言っても、結局はこのザマであった。何も守れてはいないし、とても互角とはいえない。押されている
それまでアメリカ軍が相手をしていたのは、所詮中堅の魔術結社。その規模も歴史も技術も経験も、世界一であるローマ正教のそれとは月とスッポンほどの差がある
しかも、アメリカ軍に協力している魔術師たちは、立場上仕方無くという者が多く、軍との連携は所詮、付け焼刃にすぎなかった
そして、"終末によって自然発生する天使崩れ"程の力は流石に無いが、魔術師の移動手段でもあった"ローマ正教が守護大天使ミカエルを通して使役する、天使の力の塊のような存在"は強力で、中堅どころの魔術結社程度では、その力の塊をそのまま爆発させる自爆攻撃を防ぐことすら難しいだろう
その背景には、"銀貨30枚"と言う名を持った上条刀夜率いる反体制組織の工作と、上条刀夜が誘ったあらゆる組織内の"負け組"たちによる意図的な扇動も有った
間違いなく人類の希望の一端であった科学サイドの象徴である都市は、終末による破壊では無く、人類同志の戦いで、その希望と形を失いつつあった
そして片方が天使という強大な力を使う以上、それに対抗する為に、人間である魔術師相手に使うには完全に逸脱した性能を持つ、対天使用であるはずの未元物質駆動の駆動鎧を、アメリカ軍の現場の指揮官は反撃に用いることを決めた
それは、人外の力と人外の力のぶつかり合い。例え直接攻撃をされなくとも、それらが近くで争うだけで、人間という弱い生命体は巻き込まれ、市街は再起不能なほどに壊れてしまうだろう
ニューヨークの運命は、ほぼ決したも同然だった
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