425:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/27(木) 16:35:02.05 ID:yzZtb6Ov0
シノ「あああああああああああああああああああっ!!」
重慶基地から数百キロを経て尚、シノは幻覚に錯乱していた。
全く制御が利かない手足の操作に機体が忠実に従った結果、ドラグナーはきりもみ回転をしながら墜落し始める。
シノ「わあああああああああああああああああああああああああああああ!!」
ドシュアァッ! もしも地面が砂漠ではなかったら、墜落の衝撃でドラグナーが爆破していたかもしれない。
シノ「あぁっ! あああ! ぁぜぇっ! えふっ! げほ! ぜぇ、ぜぇ……」
反動で滅茶苦茶に跳ねるシートにむせ返って、ようやくシノは意識を取り戻した。
シノ「あぅぅ……こ、ここは……?」
ほとんど呂律の回っていなかったにも関わらず対話型コンピュータ『クララ』は主の質問に答えた。
シノ「オデッサと重慶の間の砂漠地帯か……こんなところまで来てしまったのか……」
リフターを起動させようとしたが、無理だった。
身体が震えている。拒絶反応を起こしているのだ。
シノ「みっともないな……私は」
大見得を張って飛び出してきた結果がこの醜態たが、もはや自嘲する余裕もなかった。
何故なら、この太陽直下のど真ん中にシノは水も持たないでやってきてしまったのだ。
シノ「スズが探しに来てくれるだろうが、人がいる場所を見つけないとな……」
『クララ』に検索させて、見つけたのはオアシスだった。
ただ、シノのいる位置から300メートルほど離れている。
隆起の複雑な砂漠で300メートルは1キロ以上の体力を要求される上に一度方向を見失ってしまえば、二度と回帰することはできない。
シノ「ドラグナーで行くしかないか……」
戦々恐々とフットペダルに足を乗せて、リフターの回路は遮断していく。
シノ「操縦をマニュアルに……エンジンは弱く……」
飛ぶことはできないことを自覚したシノは一つ一つの機体の動作を確実にこなすことでリハビリをすることにした。
リフターは物理的に接続を切り離し、放置する。発信機はつけてあるから、後で戻ってくるときに頼りにできる。
シノ「一歩ずつ……一歩ずつだ……」
不必要なパーツを落として四分の一ほどは軽くなった機体の足をゆっくりと上げて下ろす。
確かに前進したのを見て、シノは安堵の息を吐いた。
シノ「これなら、なんとかオアシスまでは行けるな……」
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