596:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga ]
2011/02/23(水) 17:13:07.06 ID:dusS23yA0
海晴「ヒカルちゃんは、みんなにとって頼りになるお姉ちゃんよね。私も霙ちゃんもすごく頼りにしているのよ」
ヒカル「だけど、私は……」
霙「やあ、こんなところでいつまでひっついているんだ、ヒカル?」
ヒカル「えっ、霙姉……?」
黒髪のショートボブにグレーのパイロットスーツを着た霙が近くまでやってきていた。
上からマントを羽織っているが、霙がパイロットスーツを着用するのは出撃するときだけだ。
それ以外では断固として着用しようとしない。いったいどうしたというのか?
霙「ぼうっとしている時間はないぞ、ヒカル。早くアルトの速度に慣れて次のステップに進んでもらわないといけないんだからな」
ヒカル「えっ、えっ? 霙姉、それはどういう……?」
やや困惑した面持ちで二人の姉を交互に見るヒカルに霙は少し非難するような目を海晴に向けた。
霙「なんだ、まだ言ってないのか? 我々の時間は無限ではないのだから、やるべきことは早く済ませるべきだろう」
海晴「あら、姉妹のコミュニケーションは決して無駄なことじゃないわよ。霙ちゃんもどうかしら?」
霙「フッ、海晴との接触は厄介な反応を起こしてしまう。私は先に待っているぞ、ヒカル」
ヒカル「あ、あの、いったい何のことを……」
海晴「ウフフ、合格は立夏ちゃんだけじゃないのよ」
ヒカル「えぇっ?」
海晴「ヒカルちゃんはこれから霙ちゃんといっしょにアルトアイゼンに乗ってもらうのよ」
ヒカル「で、でも私は全然――」
海晴「ヒカルちゃん。ヒカルちゃんはさっきの訓練で何分、シノちゃんと戦っていたのか知ってる?」
ヒカル「え、い、いえ……」
戦闘中に時間のことなど全く入ってこない。
少しでも目を切ればやられてしまうし、終わったあとは負けの喪失感でそれどころではないのだ。
海晴「ウフフ、ヒカルちゃんは目の前のことに集中するのはいいけど、もう少し視野を広くするのが新しい課題ね。三十分以上も戦っていたのよ」
ヒカル「そ、そんなに……?」
海晴「初めの頃は立夏ちゃんに振り回されるのもあったけど、一分でバッサリだったのが、今じゃすっかりシノちゃんを釘付けにしているのよ。だから立夏ちゃんもアリアちゃんとスズちゃんに追いつけるようになったのよ」
ヒカルは面映い気持ちになった。その背中を押すようにして格納庫を歩きながら海晴はヒカルをベタ褒めしていく。
海晴「本当に、いつも色んなスポーツをしているかしら。ピカ一の集中力だと思うわ。霙ちゃんも言っていたわ。これならアルトアイゼンの加速にも対応できるだろうなって」
十九人姉妹の長女だけあって、あっという間にヒカルの沈んでいた心を持ち上げてしまった。
やっぱり、海晴姉にはかなわないな、とヒカルは口元を綻ばせる。
しかし、意気揚々と姉の愛機に乗り込んだヒカルと立夏の二人だったが、アルトアイゼンの爆発的な加速力と急停止したときの反動にヒカルは胃が飛び出ると錯覚し、立夏はヴァイスリッターの戦闘機よりも激しいアクロバティックな飛行に目を回して、仲良く医務室送りとなってしまった。
立夏「うへぇぇぇ〜、気持ちワルイぃ〜……たこ焼きとシュークリームとたいやきとアイスクリームとポップコーンとハンバーガーをいっぺんに食べた後みたい〜……」
ヒカル「やめろ、立夏……食べ物の話をするな……こっちはそれらを全部吐き出した後みたいなんだから……」
幸い、ハルヒたちギガノス軍が攻め込んでくるのは、この十時間後だった。
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