608:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/24(木) 18:34:57.30 ID:Li68PeD/0
月 ギガノス帝国
ドルチェノフ「プラート少佐は敵の将校を捕まえておきながら一切の尋問もすることなく、総帥に許可を取ることもなく、勝手に部下との交換を敵に申し入れました! これは立派な軍法違反ですぞ!」
玉座を前に声を荒げているのはドルチェノフ中将だ。その前で沈黙を保っているのは、このギガノス帝国の主メサイア・ギルトールである。
ドルチェノフ「一兵士である子飼いの部下の命を優先させるのは手駒の確保! 敵と交渉するのは内通の可能性があります! 今すぐプラート少佐を引き戻し、査問にかけねば、反逆の恐れがありますぞ!」
ギルトール「…………」
ドルチェノフ「今、連邦は我らに対する反攻の措置を着々と進めております! この上でプラート少佐が寝返るとなれば、我がギガノス帝国は大打撃を受けますぞ!」
ギルトールは頬杖をつき、目を瞑ったまま一言も発しなかった。明らかなハルヒ擁護の構えであることが見て取れるため、ドルチェノフは歯噛みした。
ドルチェノフ「ギルトール元帥! もはや地球制圧に一刻の猶予もござらぬ! ただちにプラート少佐を呼び戻し、マスドライバーによる攻撃を許可をくだされ! さすればこのドルチェノフ、速やかなる勝利を元帥にお約束致します!」
ギルトール「ドルチェノフ……」
ドルチェノフ「はっ!」
ギルトール「我らギガノスの理想は、衰退を続ける地球環境を保全することにある。プラート少佐の喚問はともかく、マスドライバーの攻撃は認められん」
ドルチェノフ「何を甘いことを仰られますか! 今こうしている間にもギガノスは棺桶に片足を浸けようとしているのですぞ!」
ギルトール「マスドライバーはコロニー落としほどではないものの、地球の環境を大きく破壊していまう。ましてや、最後の自然と言われているジャブローへの攻撃は我らの理想を大きく揺るがしてしまうのだ」
ドルチェノフ(ワシが総帥ならば、ただちにマスドライバーを発射したものを!)
これ以上の進言はドルチェノフを不利にする可能性があった。不遇をかこわれた連邦を抜け出して、ここまできたのだ。この地位を失うわけにはいかない。
ドルチェノフは、渋々とその場を引き下がらざるを得なかった。その軍靴の音が、絨毯越しにもよく響いた。
ギルトール「プラート君……我らの理想は、もはや夢幻となってしまったのか……?」
メサイア・ギルトールは、かつての親友とその娘の姿を暗い天井に思い浮かべた。
第八話 曲折! 交わされる言葉の強さ 完
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