641:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga ]
2011/02/27(日) 17:39:04.70 ID:xzchfqAl0
キョン「な、長門……」
ハルヒ「有希……」
シノや海晴だけでなく、味方である二人でさえ、呆然としてしまった。
長門の情報収集と分析能力、さらに正確無比な射撃の技術は知っていたが、数百メートル離れた上空から落下してくる爆発物を二つ、瞬時に捕捉して短銃で撃ち抜くなど、まさに神業としか言いようがないだろう。
長門「任務、完了――ッ!?」
短銃を下ろした直後、その首にまたハルヒの腕が抱きついてきた。
ハルヒ「すごいじゃない、有希! まるでシモ・ヘイヘよ! さすがSOS団の秘蔵っ子だわ!」
キョン「そうだ、すごいじゃないか、長門。あんな人間離れした技をやっちまうなんて」
耳元できゃんきゃん声を弾ませるハルヒの肩越しに安堵の息を吐くキョンを見る。
涼宮ハルヒはもとより、彼もこの世界では普通の人間である。
長門が情報統合思念体が作り出した対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースであることなど知らない。
長門「私は――」
古泉一樹も、朝比奈みくるも超能力者や未来人ではない普通の人間。
おそらく、ここに長門有希が来る前にいた、この世界本来の長門有希も普通の人間だったのだろう。
それを乗っ取ってしまったことに、彼女は罪悪感を募らせていた。
こうして涼宮ハルヒに触れられているべきなのは自分ではないことに――
だから、彼女はこう口にした。
長門「私は人〈マン〉ではなく、機械〈マシーン〉だから」
それを聞いたキョンとハルヒは、少しぽかんとして顔を見合わせ、やれやれといった風に肩をすくめた。
キョン「久しぶりに聞いたな、それ」
ハルヒ「えぇ、有希の決まり文句」
この世界に来てから、長門は自分のことを常にそう言うようにしていた。
在るべきではない存在の自分が、どう存在していくべきか――
選択したことは、優先順位を変えないこと。
そのために、自分を機械のように律した。
だけど、その言葉はキョン達をいたく怒らせた。自分のことを機械として見る『安さ』が、彼らは気に喰わなかった。
ハルヒ『だったら、この言葉を付け加えなさい! あなたが本当に、機械のように生きるっていうのなら、絶対にこの言葉と一緒よ!』
その場で思いついたとは信じられない言葉を、ハルヒは考えた。
長門はその指示に従っている。何よりも高い優先順位をつけて――
長門「今はまだ、機械〈マシーン〉だから」
閉ざされたと思っていた未来を、開けることができる言葉だから。
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