647:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga ]
2011/02/27(日) 17:42:47.58 ID:xzchfqAl0
重慶基地
基地に到着したハルヒたちに古泉がすぐに駆けつけてくる。
古泉「涼宮さん! ご無事でしたか!?」
ハルヒ「えぇ、有希のおかげで」
キョン「古泉、あの機体は何なんだ!? あいつが全部をぶち壊しにしやがったんだぞ!」
古泉「あれについて、ドルチェノフ中将の指令があります」
ハルヒ「何よ?」
古泉「新型機ゲイザムを援護し、D兵器を奪取せよ。それが果たされぬ場合はハルヒ・スズミヤ・プラートの少尉格を剥奪し、本国へ強制送還するものである、と」
キョン「だがな! あいつは俺たち諸共殺そうとしていたぞ!」
ハルヒ「つまり、どっちにしてもあたしを殺すつもりね、ドルチェノフは」
古泉「本国に戻ったとしても、よくて勾留の後に軍事裁判でしょうね」
ハルヒは爪を噛んだ。元を正せば父であるラング・プラート博士の裏切りで殺されてもおかしくない立場だった。
それをドルチェノフの下につき、尖兵として屈辱に耐えてきたのは、監禁されたみくるを救けることと、父の友であったメサイア・ギルトールの理想を叶えるためである。
だが、ドルチェノフはついにハルヒを抹殺することを決意したらしい。これは二つの大きな意味を持つ。
一つはドルチェノフが議会を制する用意ができたということ。蒼き鷹の名でカリスマのあるハルヒとギルトールを始末すれば、ギガノスはドルチェノフの支配に陥るということだ。
そして、もう一つはドルチェノフの思想がギルトールの持つそれとは大きくかけ離れたところにあるということだ。
ハルヒ「……私たちの理想にあまりに遠い隔たりがある。高い美空の星のように、高いところで光っている」
キョン「ハルヒ……」
ハルヒは爪を噛ませていた手を空にかざし、今激しく打ち合っている機動兵器に眩しそうに見る。
斜めに影を残す背中にかける言葉が見つからないキョンの袖が、不意に引っぱられた。
キョン「……長門?」
ともすれば見失ってしまいそうなくらい存在感の希薄な少女のアプローチに視線を下ろすと、薄い唇がはっきりと言った。
長門「方法はある」
キョン「な、長門、そりゃ本当か!?」
藁にもすがる思いの声にハルヒと古泉も振り返る。
三つの視線を集めてから、長門は右腕を上げた。
ハルヒ「えっ……?」
キョン「お、おい、長門。それはどういうことだ?」
長門の右手が握っている物は、先ほど彼女を救った短銃だ。しかし、今度はその銃口がぴたりとハルヒの胸に向けられている。
ハルヒ「ゆ、有希……?」
突然のことにハルヒ後ずさりするのを燻した銀のような瞳で追った長門の指に力が込められるのをキョンは見た。
キョン「なが――」
乾いた音が基地内に響いた。
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