678:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/03/02(水) 15:56:15.54 ID:mnu8E9pc0
ラル「ワシは戦いを生業としている! ランバ・ラルが戦いをやめるとき、本当に文字通りやめるときは、この命が尽きるときだ!」
力づくで広げた装甲の合間から抜け出てきたランバ・ラルはワイヤー銃をドラグナーの胴体に撃ち、身を投げた。
ラル「見事な戦いだったぞ、シノ君! だが、それは貴様の腕ではない! そのメタルアーマーの性能のおかげだということを、忘れるな!」
シノ「負け惜しみを……!」
ラル「命があれば宇宙<そら>で会おう! その時は、ランバ・ラルの戦いを見せてやろう!」
ランバ・ラルはグフから足を離し、ブランコのようにワイヤーにぶらさがってドラグナーの股下を潜り抜けると、砂漠に身を隠す。
ラル「アコース、コズン、ギャロップ、撤退しろ! ワシは夜を待って戻る!」
隊長からの最後の通信を受けて、ランバ・ラル隊は撤退を始めた。
シノ「…………」
無言でシノは装甲の隙間から動けなくなったグフを見つめていた。
完全に拾わせてもらった勝利だった。例えば、もっと距離を取ってヒートロッドでいたぶるようなしつこい戦い方をされていれば、立夏かシノのどちらかは撃墜されていただろう。
愚直な性格なのか、あるいは何かを背に抱えていたようにも見えた。
最後の捨て台詞――つまり、今日のランバ・ラルは正面切って戦う理由があったのだ。
シノ「手加減……されたのか……?」
まただ、とシノは思う。
地球に降下する前も、涼宮ハルヒに手加減をされた。
敵に生かされ、ぼろぼろにされ、また生かされる。
シノ「私は……ドラグナーに相応しくはないのか……?」
交戦の損傷か、対話型コンピュータ『クララ』は返事をしなかった。
独り取り残されるコクピットの中で、シノは拳を打ちつけた。
何も考えずに戦場に出てくるな!――
やらなくて後悔するよりも、やって後悔したほうがいいって言うよね――
ランバ・ラルが戦いをやめるとき、本当に文字通りやめるときは、この命が尽きるときだ!――
それは貴様の腕ではない! そのメタルアーマーの性能のおかげだということを、忘れるな!――
私は、私が信じるもののために戦っているのよ――
シノ「相応しくなってみせる……私なりの、戦う理由に……」
目蓋に描かれる敵の言葉が蘇る。そして、開いた瞳に熱い炎を点して、シノは決然と言った。
シノ「私は、あの人に――勝ちたい」
第十三話 強襲! 熱砂のランバ・ラル 完!
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