824:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[saga]
2011/04/09(土) 17:04:21.13 ID:EN+BHoiu0
ジャブロー連邦基地 第三高射砲拠点
美緒「砲口の修正は済んでいるか?」
管制塔の屋上で眼帯に隠された魔眼を光らせながら、特別防衛魔女部隊坂本美緒少尉は、真下にいる管制官に問うた。
連邦兵「はっ! いつでも迎撃可能であります!」
美緒「よし、約四秒後だ。三、二、一、撃て!」
最後の指示だけは管制官と重なる。
途端に、無数の爆音がして、青空に花火が上がった。
美緒「命中、十七か……私もまだまだだな」
たった一度の指令で降下するモビルスーツ大隊を潰滅させたウィッチは眉をひそめた。
美緒「次は空母、ガウを狙うぞ。第一小隊から……」
再び魔眼を光らせながら、美緒は高射砲の角度を細かく指示していった。
管制室にいる拠点部隊長は「これは本当に戦争なのか」と疑った。
降下してくるモビルスーツは着地の直前にバーニアを噴射すればよいため、降下は自重で垂直に落下してくる。
要するに、位置、高さ、速度が、従来の戦闘機を追うタイプの高射装置では縦の落下に対応しきれないのだ。
そのため、モビルスーツ降下作戦が行われると、高射砲部隊の仕事はないと言われていたのだ。
だが、魔眼を持つ坂本美緒少尉が立つと、状況は一変した。
元々、ジャブロー防衛部隊の兵士たちは彼女らウィッチなどという存在を理解していなかった。
いわゆる虎の子として本営直属にされていたのだ。
それが今回のジオン・ギガノス総攻撃に対して突然、最前線に現れて「私が指示を出す」と言い出したのだ。
実際に引力を真に受けて降下するモビルスーツを捕捉できていなかった高射砲部隊は面白がって従った。
第一に、少尉が美人だったからだ。
ようやく大人の域に到達したばかりのサムライ・ガールの異様に細かい指示に、戸惑いながらも言うとおりにする。
結果、彼らはジャブロー防衛において、現時点で最大の戦果を挙げたのだ。
美緒「……よし、撃ち方用意……」
遥か上空に浮かぶ攻撃空母ガウを見据えて、美緒は抜いた刀を空へ向ける。
美緒「撃て!」
即座に砲弾が射出される。
だが、それらの一つとして、ガウに当たることはなかった。
シャナ「はあぁぁぁぁぁ!!」
陽炎のように表れた燃え上がる炎のように赤い少女が、刀を振ると、見えない網に引っかかったように砲弾は全て落ちてしまった。
美緒「なにっ!? そうか……あれが赤い彗星か!」
刀を握りなおした美緒をシャナ大佐が見下ろす。
シャナ「あれがジャブローの魔女ね……第二波まであと140秒……それまでに落とす!」
急降下するシャナは火を纏うため、燃え盛る流星のように見える。
美緒「私と刃を交えるつもりか……面白い」
シャナ「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
美緒「せぃやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ぎゃりぃぃぃぃぃぃぃっ!! 裂帛の気合が鍔迫あう。
美緒「なるほど! 赤い彗星、凄まじい!」
シャナ「連邦に私の剣を受け止める奴がいるとはね!」
二人は立ち位置をほとんど変えることなく、数十合を打ち合った。
シャナ「燃えろ! 贄殿遮那!」
美緒「吼えろ! 烈風丸!」
巨大な魔力と炎がぶつかりあい、波動にジャブローの密林が薙ぎ倒されていった。
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