過去ログ - 番外個体「――ただいま、帰ったよ」
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280:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2010/12/16(木) 22:02:16.46 ID:maVBo6U0
浅いようで深い眠り。深いようで浅い眠り。
夢の中で出てきては消える人々からは決まって同じような言葉が発せられる。
最初の方で夢だ、と気付いたものの、夢は醒めずに延々と同じような事を繰り返す。
そしてそれは残酷にも、こんな形で邂逅したくはなかった少年さえ、映し出す。
――ロシアでの戦闘。雪原で自分の腕を折った……もやもやとした、鮮明としない少年。
ただ真っ赤な双眸だけが妙にはっきりと見える。
この人も、何か言うのだろうかと思った。
…………聞きたくない。この人が言葉を発する前に、
はやく。はやく。こんなゆめ、
「……ト」
微かな声
夢の中でふわふわしていた意識が一気に呼び戻された。
一瞬夢と現実との区別がつかなくなる。
「……ワースト」
もう一度、確かに自分を呼ぶ声
ワースト、なんてあまり良い言葉じゃないけれど、それでもしっかり番外個体の耳を通って身体の中心まで響いた。
うっすらと目を開けて。
少しの希望を抱いている自分は馬鹿だと感じながら、それでも伏せていた顔を上げてしまう。
点けっぱなしだった部屋の電気が眩しくて、そして。
「風邪引くと面倒だろォが、ちゃンと布団掛けて部屋で寝ろ」
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