過去ログ - 番外個体「――ただいま、帰ったよ」
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585: ◆3vMMlAilaQ[saga]
2011/01/25(火) 23:47:14.87 ID:wQpE6FjR0


幼児退行などと普段からは想像できない、少し気味の悪い疑いを持たれている一方通行だが、実のところ不安だったのだ。
知り合いの声で『人殺し』と丸丸当てはまる言葉で呼ばれ、そんな自分のもとから番外個体が消えてしまわないかとひたすらに。


殺される側だった『妹達』からすれば、許し難く都合の良い話かもしれない。
一万人以上の少女を虐殺してきたバケモノがどの面下げて、何をぬかしているんだと思われたっておかしくない。

それでも、いくら利己的で自己中心的なことだと分かっていても、


「…………離れンな……」


抱き寄せて、そう言わずにはいられなかった。
彼女の体温を直に感じて確かめずにはいられなかった。

好意の押しつけ、好意での拘束。
拒まれないと分かっていてそれをするのは卑怯なやり方だと自覚していて、
それでも敢えてそれをした自分はとことんクソ野郎だと思った。


「ほんとにさぁ、なーんか変だよ? ぎゃっは、もしかして怖い夢でも見たとか?」

「馬鹿にしてンのか。……別に、夢なンてみてねェよ」


一方通行のその言葉をどう捉えたのか、番外個体はくすりと小さく笑う。


「けけっ、なんだよういきなり抱きついてきたくせにさぁ。……ねぇ、ミサカは」


少しだけ、静かに目を瞑って間をおく。
浮かんでくるのは二人で過ごした数ヶ月で、たったそれだけの期間に色々あったと振り返る。
とくんとくんと心臓が鳴った。後ろに感じる暖かさが心地良い。


「――ミサカは、絶対に、自分から離れていったりなんてしないよ。あなただって、分かるでしょう? だからさ、変なこと考えなくて良いんだよ」

「……、あァ、そォだな」

「そうだよ。……ね、ちょっと体勢変えたいんだけど。そっち向いて良い?」

「ン、……つーかアレだな、オマエ少し太っ」


鈍感な第一位が放った空気を無視したデリカシーのない一言に、直後ビリビリと紫電が散ったというのは言うまでもなく。
それから暫く口を利いてくれなかった番外個体、もといレディにダイエットとかスタイル云々の深刻な悩みを植え付けた。



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