過去ログ - 番外個体「――ただいま、帰ったよ」
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648:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2011/02/06(日) 22:33:18.30 ID:3wCZGTLdo
「キミは相変わらず失礼なことを言うのね。わたしは毎日wii fitで運動しているわ」
「呆れたなァ、前までは研究室に閉じこもって何やら熱心だった研究者サマがよ。
寝て起きたら誰も居なかったなンて、オマエ愛想尽かされたンじゃねェの?」
「慰労期間とでも言って欲しいわね。……本当に愛穂ったら、帰りが遅くなるみたいだし。二人で楽しんでるのよ、このわたしを差し置いて」
ダイニングキッチンに立つ一方通行が、そんな芳川に侮蔑の視線を投げかける。
いつも食事を提供してくれる家主がチビっ子と一緒に出掛けてしまった今日、耐え難い空腹を訴えてきたこのニート。
冷蔵庫にあった冷やご飯を利用して、何故だか一方通行がチャーハンを作ってやっている。
「オラ、食え。10万円な」
「愛穂につけておいてもらえるかしら。……いただきます」
何処までも他人任せでだらしない女に心底呆れつつ、一方通行は依頼されたことを成す為に大画面の液晶テレビの前に座る。
背後で芳川が頬張るチャーハンの香りが鼻腔をくすぐり、空腹を誘われた。
帰宅してからパスタをなるべく早く食べられるように、此処を出る前に番外個体に湯を湧かしておいてもらうか。
「……キミは今日も、酷い顔をしているわね」
「……、それが飯作ったり何だりしてやった俺に対する言葉かよ」
「語弊を招く言い方だったかしら。つまり、キミはいつも浮かない顔をしているということを言いたかったのだけど。
そうね、原因を敢えて言うのであれば――罪悪感、とか」
芳川に背を向けながら、一方通行は顔をしかめる。
妙なところで鋭いこの女。今、芳川桔梗に視線を合わせれば、全てを覗かれかねない。だから振り向くことが出来ず、作業に集中しているふりをする。
「抱きたいと、思う? あの子のこと。掻き乱して、突き上げて、注ぎ込んで。
喘ぐ声も笑う顔も蕩けた顔も、全部を全部、手の内に入れたいと思ったりするのかしら」
「――何を馬鹿なことぬかして、」
「思うのよね、思ったことがあるのよね。でもキミは、それを表に出さない。自分でも認めようとしない。
何故ならあの子に、あの子達に、罪悪感を抱いているから。自分にはあの子を思う権利すらないと、そう考えてしまうから」
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