過去ログ - 番外個体「――ただいま、帰ったよ」
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742:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2011/02/21(月) 22:51:32.99 ID:drd2jubno
こたつに入って久しぶりに身体を暖めていると、バスルームの方から遅れてやってきた一方通行の小言が聞こえてきた。
自分が携帯を玄関に置き忘れていったという失態をまるで無かったかのように、
「ったく、どォして傘もねェのに歩いてくるンだよ。雨をシャワーか何かと勘違いしてねェか。
つーか早かったな、電話でもよこせば迎えに行ったのによォ」
「ん、何かね、風邪っぽいって言われてさあ。あ、それはただ相手が気遣ってくれただけっていうか、何ともないんだけど。
ただ、ちょっとドジ踏んじゃって――」
と、そこで番外個体が口を噤む。
言えるわけがない。
(あーあーあー! なになに、あなたのこと考えるのに夢中になって皿割りましたってかぁああ!?
言えない言えない、つーかそんなんじゃないし! だぁもう、何なんだよう)
ぶんぶんと頭を振って、うっかり口から飛び出しそうになった戯れ言を水滴と共に振り払う。
そうだ、こんなのは彼女のキャラではない。
一方通行を困らせて、その姿を見て腹をよじらせる。彼の嫌がることなら熟知しているし、それくらい楽勝だ。
だったら本来の自分を見せつけてやろうじゃないか。
これぞ『第三次製造計画』、番外個体の本気――ッ!
「ふにゅ」
――ものの一秒もしないうちに玉砕した。
だって仕方がないのだ、突如として真っ白でふわふわしたバスタオルに視界を奪われてしまっては、驚くことしかできまい。
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