過去ログ - 番外個体「――ただいま、帰ったよ」
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751: ◆3vMMlAilaQ[saga]
2011/02/21(月) 22:59:42.50 ID:drd2jubno


「いらねェよ、だよ? 敢えて聞いてやったのにさあ。いくら鈍感っていっても少しは何か思う筈だよ普通」

「男なんてそんなモンでしょ。第一位なんて特にそれっぽいっていうか、基本そういうことに興味なさそうじゃない」


陳列棚に並べられた商品を手にとって吟味する麦野。
そんな彼女の後ろをついて歩くのは、お世話にも明るいとは言い難い表情をしている番外個体だ。
麦野御用達だという、普段は縁のなさそうなランクの高いスーパーに連れてきて貰ったものの、カゴを両手で持って何とも苦い顔をしている。


「んー、やっぱり質の良い材料使った方が出来も良いだろうけど。ミサカにお任せするわ。
 そうそう、ラッピングも買わなきゃね。……聞いてる? アンタもさ、」


何故朝から二人で買い物してしるかというと、麦野の言葉からわかるようにこれから『お菓子作り』をするためである。
実はサプライズとはこのことで、在り来たりかもしれないが


「世の恋する乙女同様バレンタインのお菓子作り頑張るんでしょ? テンション上げてかないと」


……在り来たりかもしれないが、バレンタインということで手作りの菓子を渡す予定なのだ。
相手は勿論一方通行。麦野が先ほど言った言葉に殆ど間違いはないのだが、


「恋する乙女同様っていうのは当てはまらないけれど。
 ミサカはただ、ミサカでもそれくらい出来るっていうことを証明してやるのと、1割くらいはお世話になってる感謝の気持ちだし」


どうやら番外個体的には納得いかない部分があったらしい。
それ以前に、と付け加えて、


「……あの人に渡したところで喜んで貰えるかどうか」

「ミサカって意外とネガティブ? 喜ばないはずないでしょ、ミサカが一生懸命作るんだもの。練習だってしたじゃない」


喜ぶを通り越して興奮しちゃうかもね、と言いたいところだがぐっと堪える。
番外個体に対する一方通行の気持ちを知っている身としては、そのことを明かし、彼女が抱いているであろう懸念事項は杞憂だと教えてやりたいのも山々だ。

しかし、それは麦野の役ではない。


(そんなことしたって、きっとこの子も第一位も納得しない。第三者が出しゃばるところじゃないのよね。……あーもどかしい)


他人のことながら彼女達の微妙な関係に歯痒い思いをする麦野であった。




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