過去ログ - 番外個体「――ただいま、帰ったよ」
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925:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2011/03/18(金) 13:44:11.79 ID:SMLw9DYPo
  
 「取り敢えず落ち着け……、良いか、深呼吸だ」 
  
 「わ、分かった。あなたはムカつくけどそれが一番効果的だろうしね」 
  
  
 吸ってー吐いてーとラジオ体操のような典型的深呼吸をするのが一方通行で、 
  
  
 「しっ深呼吸深呼吸! ……ひっひっふー、ひっひっふー」 
  
  
 何かを産み落とそうとしている馬鹿は番外個体だ。 
 一方通行に頭をはたかれて、 
  
  
 「なァにを出産するつもりかなァ番外個体ォ!?」 
  
 「あいたぁっ! だだだって、芳川に教えてもらった呼吸法なんだもん! 研究者が言うんだから間違いないよ」 
  
 「あンのクソアマがァ……」 
  
  
 何だかうっすらと悪意的なものを感じるのは気のせいだろうか。 
 しかし、そのお陰というのもおかしいかもしれないが一度冷静になることができた。 
 隣で未だに深呼吸している番外個体をちらりと横目で見、 
  
  
 (つーかどォすりゃ良いンだこれ) 
  
  
 好意という感情そのものに慣れていないし、況してや真正面からそれをぶつけられるなど初めて。 
 当然ながら、一方通行は戸惑っていた。 
 好きとはどういうことなのか。 
 恋人同士が確認を取り合い、囁きあうような、そんな好きだと受け取って良いのだろうか。 
  
  
 「そ、それで……。あなたはミサカの言いたいこと、分かってくれたのかなあ」 
  
  
 そんなことを考えて頭を捻っていると、番外個体の控え目な声が聞こえてきた。 
 どうやらある程度の平常は取り戻したようだが、やはりまだ顔は紅い。 
 いじいじと毛布の端を弄るその姿は、見る人が見れば彼女の素体、お姉様こと御坂美琴にそっくりだと思うだろう。 
  
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