過去ログ - 番外個体「――ただいま、帰ったよ」
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927: ◆3vMMlAilaQ[saga]
2011/03/18(金) 13:45:59.59 ID:SMLw9DYPo

「……この俺がこンなこと言うと笑い話に聞こえるかもしれねェが、『好意』ってなァ色ンな種類がある」


一方通行は行儀悪くガラステーブルに腰掛けて、静かに言う。
未だに桜色の顔を俯かせ、ベッドにちょこんと座っている番外個体の肩が微かに震えたような気がした。

多分、傷付ける。
そして彼女は泣くのだろう。誰も居ないところで、独りぼっちで、泣くのだろう。そのくせいつもの様に、笑ってみせるのだろう。
けれどそれでも、一方通行は言わなければならない。
番外個体の為に、その気持ちを無下にしなければならない。


「羨望、友誼、丹心、尊敬。何も恋愛感情だけが『好き』ってわけじゃねェだろォが」

「知ってるよ」


即答だった。
やはり泣くかもしれないとか、そういった一方通行の懸念を振り切って。


「それを踏まえた上で、やっぱりミサカはあなたのことが好きなんだ」

「……恋愛対象としての好きって、『あの男』に抱いてたよォなモンだろ。俺にそれを向けるのは違うンじゃねェの?」

「……違ってたのは、寧ろそっちの方だったのかもしれないね」


バイト先で出会った一人の男。
どうにかして近付こうと、彼に会うときは服装だって色々悩んだし、一方通行や麦野に相談を持ち掛けたことも一度や二度ではない。
話すと楽しかったし、何より仲良くなりたかった。だから、それが恋だと思い込んでいた。

しかし。
今一方通行に抱いているものと比べれば、それはとてもとてもちっぽけなものに思えてきて。
これ程までに胸がどきどきするのは初めてで、これ程までに切なくなるのは初めてで、これ程までに一緒に居たいと思うのは初めてだったのだ。


「これが、ミサカが今抱いているこの想いが、誰かに恋をすることなんだ」




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