過去ログ - 美琴「あなた、病室間違えてない?」禁書「……、っ」
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291:[sage]
2011/08/22(月) 01:03:12.92 ID:DuaI2gHio
第四話―D



「ごめん……」

「いや……」

程無くして美琴はなんとか涙を止める事が出来た。が、意図したことではないとは言えこれはとんでもない悪手だ。
自分が泣いてしまっては結局上条が更に罪悪感を重ねてしまうだけだ。

(どうして、私はいつも……!)

いつもいつも、上条に対しての行動は空回ったり裏目に出たりするばかり。
自分からのアプローチで良い目が出たことなんて欠片も無い。
そんな事を思っていると再び涙腺がゆるくなり――

「ッッ!!」

慌てて制服の袖でごしごしと目元を拭う。
もっとも、今更泣くのをごまかした程度でこの重苦しい空気がどうにかなるわけでも無いが。

「…………」

横目で隣を見れば上条は前屈みで力無くうな垂れている。
自分の責任とは言え、彼のそんな姿は余り見たくない。そんな事よりも――

「どうすれば笑ってくれるの……」

「……へ?」

「っっっ! い、いやそのっ……」

ついポロッと考えてた事が口から漏れた。
美琴がどうにか取り繕おうとアタフタとしていると、上条は引きつった笑顔で「わ、わははは」などとわざとらしい笑い声を上げている。
「空気を読んで聞こえなかった振りぐらいしろこの馬鹿!!」とか「いつもは聞いて無いくせに何で今回に限って聞いてるのよ!!」とか。

いつもならそんな感じで騒いで終わるところだが、生憎と今日はおふざけではすまない。
このまま今日と言う日が終わってしまえば、上条との関係は気まずいままになってしまう。
ならばもう、今日を自分の汚点ではなく転換点にするしかない。

美琴は目を瞑り、自らの気持ちを整える。
自分の心の内を晒してしまおう。
どうせ一番の隠したい事はバレてしまっているのだ、これ以上どうにかなるものでもないのだから。



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