過去ログ - 「大好きだよ、一方通行」
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399:泥源氏 ◆88arEec0.g
2010/12/30(木) 01:26:39.50 ID:Vn8CsnMo



 一方通行は足踏みしている彼女を強引に招き入れると、彼女も素直に従った。


 前を歩く彼の背中は意外なほど大きく、
 彼女は何故か兄という存在を幻視する。


(彼が変わったのか、それともミサカが変わったのか……
きっと両方ですね、とミサカは自分の心境を冷静に分析します)


 彼女が、御坂妹が生まれ、
 そして自由になりそれなりの時間が経過した。

 その時間はかなり密度が濃いもので、
 見るもの全てに感動し、感銘させられたと言っても過言ではなく、
 彼女を成長させるのには十分だったのだ。


 彼女は、知る。
 楽しい、悲しい、嬉しい、寂しい、苦しい。
 そしてそれらを伴う、愛や怒りや憎しみを。

 その上で、
 彼を、自分たちを殺害した一方通行という捕食者を、恨まなかった。
 恨むにも、憎むにも、怒るにも、何分彼を知りすぎたのだろう。
 上位個体を通しても、自分としても、彼を『理解』してしまったのだ。





「おっ、御坂妹じゃねぇか。どうした?」

「――! あっ、その……」



 飛び込んでくる、上条の呼びかけ。
 急な想い人の声に思考が途切れる、胸の鼓動が大きく高鳴った。
 考えてみれば、良くわからない感情に支配され、
 いつの間にやら訪ねて来てしまっただけ。
 理由なんて、存在しない。





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