99:泥源氏 ◆88arEec0.g[sage]
2010/12/17(金) 22:18:56.80 ID:tafuo4.o
「………オィ」
「……っ、なに?」
逃げていた彼に弱さを突きつけたのは、彼女だ。
彼女の手前、もう迷うわけにはいかない。
「……ありがとよ。そして、すまなかった」
「…………!」
「俺は、オマエの前でも、ずっと最強であり続けることをここに誓う。
もォ逃げも隠れもしねェよ。光のあたる場所を、正々堂々と悪党として
のさばってやるさ――――だから、泣くンじゃねェ」
「グスッ………うん!」
彼女は少し泣いていた。
――――それでも、やはり笑顔だった。
彼が守るべき、笑顔。
心に、刻みつける。
一方通行は、杖を使いながらも、しっかりと立ちあがった。
彼女も、それに合わせるように勢いよく立ち上がる。
「……じゃァ帰るぞ」
「どこに?」
彼女は、答えは知りつつも問いかける。
すでに、悪戯っ子のような笑顔。
「……あいつらのところだよ。随分と寄り道しちまったが、な」
彼らは、歩きだす。
二人ともこの空のように赤い目をしていたが、どちらも曇りない眼差しだった。
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