117:90[saga]
2011/04/05(火) 15:30:44.86 ID:gILvdZBdo
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11月02日。
第三次世界大戦が終わってからもう3日が経った。
よく解らない内に始まっていた戦争は、結局訳の解らないまま終わっていた。
ニュースでしている解説だって、どこか要領を得ていないように私には思えない。
学校の担任もHRの時に「何かおかしい」と言っていたし。
戦争が始まってすぐに警備員の大多数が戦場に駆り出されて、風紀委員が今まで警備員の
行ってきた仕事も請け負うようになった。
学校は安全の為に休校になり、初春と白井さんは第177支部に缶詰状態。
初春たちの様子を見に行っても、みんな必死に仕事をしていて、そこに私がいても何か
できることがあるわけでもない。
唯一つできることは、食料を渡すことだけ。
戦争のせいでみんなが買占めを始め、それでもいろんな学区を周って、やっと栄養ゼリー
とパック牛乳を仕入れることができた。
栄養ゼリーは味気ないしお腹も膨れないけど、忙しくてもすぐに摂取できるし保存が利く。
あと、みんなの身の回りの世話。
服を洗ったり、シャワーを浴びたりすることも出来ないほど風紀委員は多忙だった。
買い貯めたゼリーらを、毎日一回朝になったら届けて、ついでに服とごみを預かる。
ごみ出しをして、みんなの寮に新しい服を取りに行き、洗濯物をして届ける。
ただ、それだけしか出来なかった。
「それだけ何て言わないでくださいまし。佐天さんが居なかったらもうとっくに倒れている
ところですの。わたくし達のためにもう十分働いてくださっているのに」
そう私に言ってくれた白井さんは、目の下にパンダのような隈を作り、髪は手入れがちゃんと
行き届かずクセが出て荒れていて、ドアにもたれながらやっと立っていた。
そんな状態になってしまった白井さんにまで、私は気を遣わしてしまった。
そんな状態になっても私はみんなを助けることが出来ない。
自責の念と、自分の無力さが身に沁みた。
自分にしか出来ないことがある。みんなを支えるのは私しか出来ない。
そう考えても、やっぱり初春たちの戦場で戦えない自分が惨めだった。
レベルが高かったら。風紀委員をやっていれば。
「たら」と「れば」ばかりで、みんなの気遣いが痛かった。
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