184:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/29(土) 01:09:30.65 ID:XmzYscdqo
<二年後.王都.画廊>
青年「……」
画商「失礼するよ!」
青年「うん? ああ……」
画商「どうしたね、先生。ぼんやりしなさって」
青年「ちょっとね。絵を見てたんだ」
画商「おや、二枚。わしも見てよろしいですかい?」
青年「かまわないよ」
画商「ふむ。こちらの絵の男は、先生かい? なかなかうまいが、素人っぽさがあって売り物にはならんね。もう一枚。こちらは木にもたれて眠る少女の絵か。こちらは素晴らしい。先生、ぜひうちで売らせてもらえませんかいね?」
青年「悪いけど、どちらも売る気はないんだ。どちらも大切なものなんでね」
画商「……うーむ、そりゃ残念。先生は王都でも有名だから、高く売れるんだがねえ」
青年「はは、あなたのその正直なところは嫌いじゃないよ。でも、これは僕をスランプから救ってくれた恩人の絵だから」
画商「ほほう、絵の少女。先生のコレですかい?」
青年「ふふ、そうだったら、良かったんだけれどね」
画商「……ふうん?」
青年「さて、出発しようかな」
画商「先生、前にも聞きましたが正気ですかい? 東の国に行くなんて。先生ならこっちで十分やっていけるのに」
青年「彼女と約束したからね、いろんなところに連れていくって。それに、僕は後三年で、世界中に認められる絵描きにならなくちゃいけないんでね」
画商「はあ、よくわかりませんなあ」
青年「それじゃあね」
画商「お気をつけて!」
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