過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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30:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]
2010/03/20(土) 16:34:03.75 ID:2Z2/dwEo

「なんか色々な柔らかくて上条さんは大変ですよまったく」

 指は、意外な柔らかさを上条に伝えてきていた。

 なるほど、さきほど頬を突いたときの硬さや質感は、こうしてみると意外なほど人に近いものを思える。

 人そのものよりもやや硬いが、その差が逆に『人を模そうとした』ことを感じさせることとなっていた。

「ま、まぁ傷もなさそうだし、そろそろ戻すかな」

 と、妙に早口で人形を下ろそうとする。

 そんな彼の鼻先を、金色の髪が掠める。

 ふわり、と甘い香りが鼻腔をくすぐった。

「・・・・・・」

(って、いまなに考えてた俺そんな俺はその趣味はないないいやだってそんな土御門じゃあるまいし人形様にだってうわらばあばばばばば)

 ブンブンと頭を振る。

 いま顔が熱いのは気のせいだ、気のせい。そうじゃないと困る。

 思わず視線を逸らした上条。

 そんな彼の目が、ひとつの金属片が捉えた。

 ぱっと見て、ハート型のようにも見えるそれは、

「ゼンマイか、これ?」

 内心の動揺を自らごまかすように呟きつつ、ゼンマイを右手で取り上げる。

 包帯越しに金属の感触をかえしてくるソレは、正しくなんの変哲もないゼンマイだった。


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