過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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306:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]
2010/07/04(日) 23:29:46.25 ID:SO/OYW.o





 ガサリ、と脚に当たったビニール袋が、路地裏に軽い音を響かせた。

「あぅ…」

 通常であれば、ビニール袋に脚をかけたところで転ぶ者はいない。

 しかしいま、そこに放置されていた酒やらつまみやらが入った袋は、それなりの障害物になっている。

 だからその彼女は、ふらりと体勢を崩すと、バタリと地面に倒れこんだ。

 もはや手をつく力もない。

 白い肌と長いブロンド、そして高価そうなドレスが、ダイレクトに汚れたアスファルトにたたきつけられた。

 一瞬だけ持ち上がった彼女のスカートが、すぐに重力に囚われ、ふわりと横たわる少女の脚を隠す。半眼だけ開いた瞳に、同様にずれ動いた前髪がかかった。

「……?」

 少女――――雛苺は、自分がなぜ倒れたのかも理解できていないような表情を浮かべた。

 季節的に周囲はそろそろ薄暮から夜に落ちてくる。それでもなお彼女を照らしているのは、周囲をふわふわと飛ぶ、桃色の光球のせいだ。

 もっともその光も、電池が切れる寸前のライトのように、弱弱しいものでしかない。時折、ふっ、と光は暗くなっては高度が落ちようとするが、そのたびになんとか持ち直している始末だ。

 もう力尽きる寸前というのは、誰の目にも明らかだった。


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