過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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322:上条と真紅 ◆zEntDqWLlc[sage saga]
2010/07/26(月) 01:58:43.73 ID:46.faFwo

「・・・・・・」

 『前回』の日々を語る彼女は懐かしくも楽しい思い出を語るようで、それがゆえに、現状を省みるにはむしろ哀しげな表情であったと、そんな感想を上条は抱いたものだ。

 その真紅はいま、上条の部屋にいる。

 水銀燈との戦闘でボロボロになっていた上条の部屋をなんだかよくわからない魔術で修復した影響なのか、それともそれ以上の説明をしたくなかったのか。

 午後9時になった途端、

「眠りの時間なのだわ」

 と、それまでのシリアスで哀しそうな雰囲気を吹っ飛ばして鞄に入ってしまったのである。

 結局、真紅からの説明でわかったことは、真紅自身にもいまの状況が不可解なものだ、ということだけであった。

(…どういうことなんだろうな、まったく)

 そんな風に思う。

 インデックスすらほとんど知らない薔薇乙女のことだ。その当人である真紅に理解できないことが上条にわかるはずもなかった。

「ま、どっちにしても、できることは決まってるんだけどな」

 自分のスタンスは決まっている。

 信じ、護ること。たとえ出会って一日も経過していなくとも、上条にとって真紅はもう護るべき対象の一人だった。それは同時に、彼女が護ろうとするものも、上条が護るべきものであるということ。

 たとえ裏切られても、呆れられても、きっと今までそれでやってきて、きっと、これからもそうしていくに違いないのだから。

 苦笑を浮かべ、上条は右手を握りこんだ。

 そこに――――

「上条くん。」

 背後から、声。

「姫神?」

 聞き慣れた声ということ以上に、元々ここに呼び出した相手の声に、上条は振り返った。

 肩越しの視線の先には案の定。

 姫神秋沙という名の、長い黒髪の少女が立っていた。


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