過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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426:上条と真紅 ◆zEntDqWLlc[sage saga]
2010/12/20(月) 00:04:25.76 ID:Rs5RHhoo
「……」

 違いないが、

(……)

 だがそれでも、美琴は彼に頼みたくなかった。

 自分でも、その感情の出所が何なのかよくわからない。

 すでに返せないほどの恩を受けているからか。あるいは、自分が関係している事件を自分で解決できないのが、矜持に反するのか。

 妙にモヤモヤとした感覚が胸のうちに溜まり、約一秒。

(ああもうっ、めんどくさい! 私はコイツにこれ以上借りを作りたくないだけ! そうよ! そうに決まってる!)

 美琴はモヤモヤを振り払うように内心で首を振る。それから、キッ、と音が出そうな勢いで上条を見た。

「わ、私がどこで何してようがどうだっていいでしょーが! アンタには関係ないでしょ!?」

 胸の中で渦巻く正体不明の感情と照れにより、口調が必要以上に刺々しくなるが、構っていられない。

 それに、これで上条が気を悪くして立ち去ってくれると言うのならそっちの方が都合がいいのである。

(そうよ、都合が、いいんだから…)

 背を向ける上条を想像して、どうしてか胸の奥が痛んだが、なんとか表情には出さなかった。

 しかし、

「いや、そう言われたらそうだけどよ」

 彼は少女の言葉に気を悪くした風もなく、立ち去るという仕草もない。

 美琴は気づいていないかもしれないが、彼と彼女は基本的にこんな風に会話することが多い。気を悪くするも何も、上条にすればいつもの会話である。

 加えて彼は今日、ここで姫神と待ち合わせだ。立ち去るという選択肢は残念ながら存在しない。

 ガリガリと、いわゆる「どうしたものか」みたいな表情で頭を掻く上条が、ふと、美琴の顔を見て、あれ、と言った。

「どうしたんだよお前。妙に顔が紅いし汗もかいてるみたいだけど…」

「っ!」

 慌てて額をぬぐい、襟元を見る美琴。

 上条の言うとおり、ぬぐった手の甲は濡れ、制服にも多少、汗のシミができていた。


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