過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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439:上条と真紅 ◆zEntDqWLlc[sage saga]
2010/12/20(月) 00:22:00.38 ID:Rs5RHhoo
「……」

 真紅は、紅茶に満たされたカップを手に取る翠星石を見ながら、すっ、と息を吸い込んだ。

 菓子に夢中なインデックスは元より、感受性が強く、周囲に敏感な翠星石にも気がつかれないほどの、小さな、しかし確実に存在する己の緊張を隠すための一息。

 その呼気をゆっくりと吐き出す真紅。それから、手にしたカップを、ソーサーに置いた。

「ところで、」

 口を開く真紅。

 その拍子に、

「おかわりなんだよ!」

 ラーメンのスープでも飲むようにして破片まで吸い込んだインデックスが、大皿をテーブルに置きながら物凄く真剣な表情で言った。

「……」

「……」

 いきなり話の腰を折られた真紅と、作ったお菓子を瞬殺された翠星石は揃って沈黙。

 きっかり三秒、真紅はインデックスのキラキラと光る期待の表情を見つめてから、翠星石に目を向けた。

「だ、台所の炊飯器の中で焼いてるところですぅ」

 ガタッ! とインデックスが立ち上がる。

「あ、こら、まだ焼けてないですよ!?」

「待ってるだけなんだよ!」

 言葉とは裏腹に、すぐにでも炊飯器を開けそうな勢いでインデックスはキッチンに消えていく。ドタドタと足音の後、ガタン、と椅子が揺れる音がした。座って待つつもりのようだ。

「……まるで犬のようですぅ」

 今度こそ呆れた声で呟きつつ、インデックスの背中を見送る翠星石。

 陶器のように美麗な頬を、たらりと汗が流れていった。


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