過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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516:上条と真紅 ◆zEntDqWLlc[sage saga]
2011/08/18(木) 23:35:57.22 ID:ivATNVgBo







 同刻。

「うおおおおおっ!」

 上条が右手を振るう。

 一撃。

 二撃。

 三撃。

 何度も。

 何度も何度も。 

 何度も何度も何度も。

 リビング入口。

 インデックスに指示された場所。

 視認することはできない透明な壁に向けて、固い拳がたたき付けられる。

 手応えはあった。

 三沢塾の時とは違い、幻想殺しが確実に結界に影響を与えている、そんな手応えが。

 本来この種の結界は、幻想殺しと言えども触れるだけで解除はできない。

 核を破壊するか、術者を倒すか、あるいは成立させている魔力になんらかの障害を与えるか。

 それがいま、なぜ効果を顕しているのか。

「―――」

 上条の隣で響く、インデックスの歌声。それが答えだった。

 彼女の歌声が結界にぶつかり、震動を与えている。幻想殺しが作用しているのは、その震動に対してだ。

 通常認識できないはずの空気の存在を、大音量の音波で感じる、という感覚に近い。

 インデックスは――――禁書目録は、三沢塾で本物の黄金錬成を体験している。正確に同一のものでなくとも、こと魔術に属する範囲での代替であれば、彼女の分析を阻むものではない。

 その上、上条が帰還するまで歌声による分析は続けられていた。

 どんな歌声を、どのタイミングでぶつければ結界に影響を与えられるのか、把握するだけの時間があったのだ。

「ひらけっ! このっ!」と、上条が拳を振るい、

「―――」インデックスが、歌を奏でる。

 一撃一撃が、一声一音が、確実に結界を破壊に導いていた。

 もちろん通常であれば不可能な話。普通の結界であれば、幻想殺しは震動している部分のみをたちどころに削り取ってしまうだろう。

 いまそれが可能なのは、皮肉にもこの結界の強固さゆえ。

 その強固さは、歌声による震動を結界全体へと響かせてしまっている。

 幻想殺しによる打ち消し効果をのせたまま、全体へと。

「ふざっ! けんじゃっ! ねえええええっ!」

 拳を振い続ける上条。

 病院からここまで。

 奪われながらも休息に努めることで僅かに残った体力を、全てぶつけていた。

 度重なる戦いで培った彼の直感が告げている。

 ここで惜しめば、必ず後悔する、と。


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