過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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上条と真紅
◆zEntDqWLlc
[sage saga]
2011/09/05(月) 00:45:29.91 ID:S80mhRzpo
○
「てめぇ!」
捕われた真紅を見て、即座に駆け出そうとする上条。
だが、
「!?」
踏み出した脚がガクリと崩れた。
「上条くん!」
反射的に姫神が上条を抱え込んだ。
走る勢いを残したままの彼に引っ張られ、たたらを踏んでしまう。
二歩の動きをもって、なんとか支えきった。
「ちっくしょ…!」
腕の中で彼は立ち上がろうとしているが、身体にまったく力が入っていない。
これ以上は無理だ。
姫神はそう判断した。
しかし目の前には、危機が続く真紅の姿がある。
自分たちの真向かい。ベランダ側の壁近くで、驚きを残したセーラー服が右手を振り上げのが見えた。
「っ」
攻撃の予備動作。
思わず身体が強張る。
上条は動けず、自分には闘う術がない。
いまは、三沢塾の時とは違う。
全てに絶望していたあのときとは違い、いまの姫神は、死を恐れるだけの理由があった。
呼吸がとまり、脚がひとりでに一歩だけ、後ろに後ずさる。
しかしその彼女の腕の中で、上条がなお戦おうと――真紅の元に駆け寄ろうと、身もがいた。
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