過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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763:上条と真紅 ◆zEntDqWLlc[sage saga]
2013/05/21(火) 01:36:40.62 ID:BCdppM12o

 力が抜けてだらりと垂れた両腕から、蒼星石だった人形がガタリと落ちる。

「……」

 長い髪をたなびかせ、幽霊のようにゆらりと立ち上がる翠星石。

 意思なき瞳がインデックスを映し、直後に翠星石の身体が翠光を放った。

(ま、まずいかも!)

 危険を感じ、インデックスはヘッドスライディングのごとく身を投げ出した。

 足元を何かが掠める感覚。一瞬前まで彼女がいた場所で、召喚された植物が空を掻く。

「……」

 遠く、再び翠光が弾ける。

 床を押してうつぶせた身体を反転。胴体があった場所に茎が絡むのを横目に即座に立ち上がり、 

「P I O B T L L!」

 相手を見ないまま『強制詠唱』を放った。

 ここは講堂。声は響くように作られている。これだけ離れていても十分な効果は認められるはず。

「……」

 だが翠星石はまるで意に介さず、ゆらん、と両腕をインデックスに向ける。

(やっぱり完全自立駆動!)

 さらに跳びすさるインデックス。その足元を植物が掠める。

(でもどうやってローゼンの霊装に割り込みを!?)

 インデックスの予想では、ローゼンの目的は『人形の究極進化』だ。つまり自我を内包した人形が必要であり、その独立性は何よりも優先されている。

 それをここまで完全に押さえ込み、さらに自立駆動させるということは、紛れも無くアウレオルスが翠星石を――『薔薇乙女』を掌握していることを意味している。

 ただでさえローゼンは正体不明で書物を遺していない。その中でも最大のブラックボックスと言える『薔薇乙女』に割り込みをかけるなど、構造のわからない爆発物を改造するに等しい。

 どんな術式を構築しているのか。あるいは今のアウレオルスの技量が、かのローゼンすら凌駕しているということか。

 いずれにしても『強制詠唱』の効かず、『魔滅の声』が使えない今、翠星石に対抗する手段はなかった。



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