過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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791:上条と真紅 ◆zEntDqWLlc[sage saga]
2013/10/15(火) 22:53:08.33 ID:wDeJ7wZ0o

 三沢塾の講堂は、先程までの闘いが嘘のように静けさを取り戻していた。

 戦闘の舞台となった講堂に、目立つ破損は見当たらない。

 いやそれどころか、戦闘の痕跡たる水銀燈や蒼星石、セーラー服の身体も消えうせていた。

 n のフィールド――精神世界の影響が色濃い『結界』は、内部での出来事が外部へ反映されにくいという性質を持つ。

 アウレオルスたちが夢の扉を渡り、『結界』が消えうせたのと時を同じくして、煙のように消えていたのである。

 ただし、彼らが何らかの方法で持ち去ったのか、それとも水銀灯たちすら『結界』の効力で投影されていたのかまでは、わからなかったが。

「説明、しなさいよ」

 と、演台に背を預けながら美琴が問うた。

 声には苦しさと悔しさが滲んでいる。己と同じ顔をしたアウレオルスに殴られた腹を、右手が庇っている。

「……」

 無言を返す上条。

 だが無視をしているわけではないのは、迷いに満ちたその表情から伺えた。

 確かに美琴には、後で必ず説明する、と伝えてある。しかし今それをすることは、この後の戦いに巻き込むことに等しいのだ。

 『アウレオルス』も『薔薇乙女』も魔術側の話だ。美琴には関係がない。

 沈黙が十秒を経過し、痺れを切らした美琴が再び言葉を放とうとしたところで、

「巻き込みたくない、とお考えですの?」

「黒子?」

 美琴が振り返る。

 いまだ意識が戻らない初春の手当をしていた白井が、いつの間にか傍に立っていた。



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