32:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]
2011/01/09(日) 14:51:40.10 ID:ebftp9go
「それで、どうするんだ」
店を出て開口一番、アイツはそんな事を言ってきた。
「……へ?」
「だからさ、どうすんだよ。どこ行くかって聞いてんの」
そう訊かれて私は実のところ何も考えていない事に気付いた。
よくよく思えば私の目的は漠然としすぎていて、具体的にどうすればいいのかなんて何一つ分からないのだ。
こうしてアイツを呼び出す事に成功した時点で私の目的は半ば達成されている。
そこから先はわりとどうだってよかった。だからといって何も考えていないというのはお粗末すぎるけれど。
「えっ……とぉ……」
「まさかオマエ何も考えてないんじゃないだろうな」
ぎくっ。
図星を突かれ私の動きが一瞬止まる。顔もたぶん引きつっているだろう。
アイツはそんな私の顔を見て悟ったのか、また溜め息を一つついてめんどくさそうに頭をがしがしと掻いた。
「ま、まあぶらぶら歩いてるだけでもいいじゃない。それだけでも退屈なんてしないでしょ。
それとも何? 相手が私じゃ不満とでも言うの?」
「そりゃそうだけどよ……、……まあいいか」
ふとアイツを見ると、何やら似合わぬ小難しい顔をしていて、
それからふと表情を和らげ「仕方ないなあ」とでも言うように私に向かって緩く笑んで言うのだった。
「そうだな。オマエとなら、退屈しそうにない」
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