41:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]
2011/01/09(日) 15:10:30.47 ID:ebftp9go
それはまるで暗闇を怖がる幼子を宥めるような、優しげで、そしてどうしてだか無条件に信頼できるものだった。
「なんで」とか「でも」とかそんな些細などうでもいい疑問を封殺するような暖かな声色。
私にはむしろ、どうしてそういう響きが紡げるのか不思議でならなかった。
私はきっと躊躇うような、怯えるような顔をしている。
それでもその内の幾許かはアイツの言葉で和らげられたのだろう。
戸惑いの方が大きいかもしれない。だからだろうか、アイツは。
「大丈夫だよ」
もう一度繰り返す。
今度ははっきりと、力強く。
視線を逸らす事なくまっすぐに私を見てそう言った。
「……」
繋いだ手は暖かい。
思えば何度かこうして手を繋いだ事はあるけれど(大抵の場合不可抗力だが)、アイツから握ってくれたのは初めてではないのだろうか。
そう、いつだって私からなのだ。私たちの関係のベクトルは常に『私→アイツ』で、アイツはいつもどこか受動的だった。
何かとんでもない事が起きてしまってアイツが後先考えずに飛び込んでいく事はあってもアイツから何か起こした例がない。
だから、だろうか。何の根拠もないのに。
「――うん」
特別な何かが起こるような気がして、私は頷いてしまったのだ。
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