454:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/03/13(日) 23:15:36.70 ID:EDY7xjvmo
単身矮躯の、奇妙な格好の少女だった。
細い体に黒い皮と鋲で形作られたパンキッシュな衣装は拘束具を思わせる。
その上から白いコートを、フードを頭に引っ掛けるだけで羽織っている。袖に腕は通されずだらりと垂れ下がっていた。
黒いストレートの髪が肩口から肩甲骨の辺りまで零れているが、両サイドの一房ずつの耳あたりから先が金色に染め抜かれている。
研究所などではなく、ステージの上でマイクを握り叫び歌っていた方が似合うような少女だった。
だから彼女がこのような場にいるのは場違いでしかなく――しかし確かに場の空気には似合っていた。
血と死の臭いしかしないこの場において彼女の衣装は確かに似合っていた。
「……どォしてあなたがここにいるんですか、黒夜」
絹旗がいつもとは明らかに違う奇妙なアクセントで問いかける。
「どうして? 説明が必要なのかい、絹旗ちゃンよォ」
対し、黒夜も同様の口調で答える。
「私も、アンタも、査楽も、それにそっちの滝壺ちゃンもさァ」
彼女は順繰りに視線を投げ。
「『同窓生』じゃないか。寂しい事言うなよ、ねェ?」
一体何が犯しいのか。くつくつと嗤った。
寒気のするような口調と声色に浜面は絶句していた。
乾いた喉をどうにかしようとごくりと唾を嚥下しようとするが、からからに干乾びた口は嫌な痒みを生むしかなかった。
腕の中の滝壺もまた揺れる瞳で黒夜と査楽を視線を見詰めている。
そしてぽつりと一言、呟いた。
「……『暗闇の五月計画』」
――ああなるほど、分かったよ滝壺。
「つまりこいつらは……」
浜面はぎり、と奥歯を噛み締め、黒夜と査楽を睨め付けた。
――俺たちの、敵だ。
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