58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/15(土) 20:03:22.14 ID:i9Jg8O//o
(恋人に……見えるのかな……)
すれ違う人たちの視線が怖くて私は頬を染めた顔を俯かせたまま足早に歩みを進める。
客観的に見れば私たちはどう見てもカップルなわけだが、その事を考えるのがどうにも恥ずかしくて、でも意識せずにはいられないまま足を動かす。
目的地なんてないのに何を急いでいるのだろう。
「おい、ちょっと?」
アイツの声にはっとなって歩くスピードを緩めた。
振り返ると当然ながらそこにはアイツの顔があって、でも直視できずに私は少し視線を逸らせてしまう。
「なあ、あれ」
そう言って指差したのは通りに面した雑貨屋だった。
小ぢんまりとした、キャラ物の文房具やらをメインに取り扱ってる奴だ。軒先に貼られた派手なポスターが一際目を引く。
『ラヴリーミトンフェア』という大きな文字の横に、これまたでかでかとカエルのマスコットキャラクターのイラストが描かれている。
即座に方向転換した。
背後で笑いを堪えている気配がした。
いいじゃん。好きなんだから。人の好みにまで口出ししないでよ。
「いや、分っかりやすいなーってさ。っくく」
そんな声を黙殺してまっすぐ店内に入った。手を引っ張りながら。
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