59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/15(土) 20:04:48.23 ID:i9Jg8O//o
からんからん、とクラシカルなドアベルが鳴る。
見た目に違わず店内は狭く、所狭しと置かれた棚に色とりどりのキャラクターグッズがひしめき合っていた。
入ってすぐ目に入るのはなるほど、フェアと言うに違わずラヴリーミトンのグッズが前面に押し出されている。
中でも特にゲコ太が多い。ヒゲを生やしたダンディなカエルのマスコットだ。
ノートだとかシャーペンだとかの文房具や携帯ストラップ、はては大きなクッションまである。やばい、欲しい。
(でもさすがに大きすぎるわよね……これを抱えて一緒に歩くのはちょっと……)
うん、今度、できれば明日あたりにでも買いにこようと思い、はたと気付く。
どうして私は躊躇った。
なぜ『また今度』なんて考えた。
どうして今度ならよくて、今はいけないんだ。
そんなの決まってる。実にシンプルな答えだ。
「なんだこれでけえ! そして高けえ!」
と騒いでるバカがいるからだ。
これを抱えて一緒に歩くのは気が引ける。
どうして? 相手がアイツじゃなかったら構わなかっただろうに。
そう。私はまったく救いようのないことに。
この時になってようやく自分の置かれている状況を自覚した。
(もしかしてこれって……デート……よね……)
とんでもない事に私は今の今までその単語を完全に失念していた。
うん、おめかしして、待ち合わせして、そわそわしながら待ってて、遅れてきた相手に怒って、
でも嬉しくて、一緒にご飯食べて、あまつさえ手を繋いじゃったりして。
どこからどう見てもデートだった。
「うわああああっ!!」
「いきなりどうしたっ!?」
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