595:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/30(土) 23:53:24.22 ID:M8LBa166o
天井のスピーカーから降り注ぐ音。
激しい頭痛に滝壺は思わず頭を押さえ、脱力しその場にへたり込んだ。
「っ――ぁ――!」
猛烈な吐き気と脱力感。そして意識の混濁。
人の脳は作業机に比喩される事が多いが、だとすればこの音は机の上でタップダンスでも踊られている気分だ。
作業の邪魔になるとか生易しいものではない。作業をする机そのものの上で暴れられては何も出来やしない。
浜面のスイッチを押した事によって施設の対能力者用防衛装置である音響兵器が発動した。
大音量で放たれる音波は滝壺の鼓膜から進入し脳を揺さぶる。
視界が明滅する。世界がぐねぐねと波打ちひっくり返っているような感覚。
平衡感覚すら狂っていて、天井に向かって落ちてしまいそうな気さえする。
だが。
そんな激しい苦痛の中で滝壺は笑っていた。
とん、と。
優しく肩を叩かれ、涙が零れた。
(はまづら――――)
滲んだ白黒写真のような視界の中、駆ける浜面の背が見えた。
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