64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/15(土) 20:13:51.01 ID:i9Jg8O//o
「………………」
しこりが取れた。
ばらばらだったピースが全て綺麗にはまったような爽快感。
今まで引っかかっていたものが全部、手品のように消え失せてしまった。
何て事はない。自覚症状がなかっただけでとっくの昔に私は恋の病に罹患してしまっていたのだ。
実にあっけなく、それこそ劇的な動機などなく、日常の一コマでそれを悟ってしまった。あまりに突然に。
こんなので連ドラでも作ろうものなら視聴率は最低だろう。それほどまでに一大イベントとも言えるものが突然に訪れた。
もうちょっとドラマチックに、ロマンチックに起きてもよかっただろうに。
でも私が欲しかったのは、本当はそんなものじゃなくて。
こういう平々凡々な一山いくらで叩き売られているような何の面白みもない世界だったのかもしれない。
「どう、した?」
私が急に冷めたように見えたのだろうか。いや、確かに私は醒めていたのだけど。
アイツが恐る恐るのように少し上ずった声を私にかけてくる。
……少しくらい、ううん、もうちょっとくらいはワガママになってもいいわよね。
さっきとは違ってごく自然なままの表情と声色で、私は何の加工もなしの顔と言葉をアイツに向ける。
「ダメ……かな……」
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