645:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/05/09(月) 21:50:58.55 ID:Cu0QJs/Co
査楽の決断は早かった。
「麦野――! ――――くっ!」
冗談ではない。査楽にとっては最悪の展開。
一軍に匹敵する能力を持つ最高位能力者の一角の少女。
彼女を相手にするなど、文字通りに命が幾つあっても足りない。
やや薄らいだとはいえ体晶の効果はまだ残っている。
全力を超えた暴走状態の能力を強引に行使し、査楽は最速でこの場からの遁走を選択した。
ふつ、と音もなく査楽の姿が虚空に消える。
「………………、は、ぁ……」
張り詰めていた緊張の糸が切れ、浜面は深い溜め息を吐いた。
「どうせならもっと早く来てくれよ。こっちは何度も死に掛けたんだぜ、麦野」
「にしてはそこそこピンピンしてるみたいだけど。あんな啖呵切っちゃってさ。浜面の癖に生意気だっつーの」
そんなやりとりをしながら、麦野はゆっくりと二人の方へ歩み寄った。
「大丈夫? ……じゃないか」
しゃがみ込み、滝壺の顔を覗き見る麦野。
対する滝壺の頬には涙が赤い筋を描いている。
しかし滝壺は薄く目を開き、弱々しく微笑んだ。
「大丈夫だよ、むぎの。はまづらが守ってくれたから」
「……そう」
その返答に麦野は、どこか痛切な笑みを返した。
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