695:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga !orz_res]
2011/05/18(水) 23:40:39.29 ID:32iMxubGo
「…………」
こんなにも幸せなのに。
時間は無情にも過ぎ去ってゆく。
「もうそろそろ……帰らないと」
この言葉を吐き出すのが辛くて仕方ない。
「幸」と「辛」とは棒一本しか変わらないのにどうしてこんなにも違うんだろう。
恋は麻薬だ。とんでもない依存症がある。
一緒にいるときは幸せで一杯なのに、一時たりとも離れたくないのにそれは叶わない。
いっそこの瞬間世界が終わってしまえばいいのに。そんな事すら思う。
これからもっともっと色んな事があって、その度に私は彼の事を好きになるんだろうけど。
「…………」
「…………」
お互いに沈黙する。
繋いだ手はそのまま。
ここでいっそ攫ってほしいなんておとぎばなしみたいな事は言わない。
私は現実に生きてるんだ。夢物語みたいに済んでしまえばどんなにいいかと思うけどそれを否定する自制心がある。
それでもどこかにそれを待ち望んでいる自分がいる。
「…………美琴」
名前を呼ばれた。
私は、できるだけ、平静を装って答える。
「なあに?」
眼を合わせられない。
心臓は凄い勢いで鳴り響いている。こんなに近くにいるんじゃ聞こえてしまいそう。
どこかでそれを望んでいる私がいる。
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