7:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]
2011/01/05(水) 21:52:11.60 ID:fTbLwVYo
「っっっ――!!」
せっかく取り戻した平静は紙切れのように吹っ飛んでいった。
思わず声を出さなかっただけマシなのかもしれない。
いや、声を出すのも忘れてしまうほど私は驚いていたのだ。
その証拠にガラスに映った私の口は打ち揚げられた魚のようにぱくぱくと開閉を繰り返している。
他方、私の待ち合わせの相手であるあのバカは、私から少し離れた場所できょろきょろと辺りを見回している。
心なしか焦っているような感じだ。まるでそこにいるはずの人物がいなくて慌てているような。
私はオーバーヒートした頭のまま、ばっと振り返る。
そこにはやっぱり見覚えのあるツンツンした髪の見るからにバカっぽいのがいて、私が見たものは鏡に映った幻などではない事を物語っていた。
……私を探しているのだろうか。
見れば額には季節外れの汗が浮いていて、肩は荒く上下している。きっと全力疾走だったのだろう。
待ち合わせの時間に遅刻した事はさておき、ああまで私のために焦ってくれているのなら……少し、嬉しい。
そんな心中に浮かんだ小さな感情に私は気付かぬまま、でも機嫌は一発で直ってしまって、足早に駆け寄ろうとして――。
目が合っ――――逸らされた。
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